【書評】『教育史の中の内村鑑三』 神奈川大学評論ブックレット39  安彦忠彦

 教育を「公教育」を担う学校教育にしか見ない風潮に疑問を抱き、「国民の自己教育」としての家庭教育や社会教育・生涯教育の中心を成す「私教育」の重要性に着目する本書。
 明治以来、国民を政治経済的に「教化・訓練」し、国家に都合のよい人材を育てた結果として戦争が引き起こされたとし、「公教育」依存の日本社会を「自立した国民」による社会に変えていくために、内村鑑三とその後継者たちを日本の教育史の中に位置づけていく。
 著者は、内村が「公教育」を越える教育を求めていたとし、内村が聖書研究会などの集会を通して行っていた伝道活動を「私教育」の場と捉える。内村を継承する無教会の集会は、一種の社会教育活動であり、「公教育を相対化」する「私教育」の活動であって、そうした場でこそ国民は個人として自由に語れる、という指摘は斬新。

【本体1000円+税】
【御茶の水書房】978-4275020383

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