【書評】 『すべての壁をぶっ壊せ! Rock’n牧師の丸ごと世界一周』 関野和寛

  雑誌『こころの友』(日本キリスト教団出版局)で、2015年から連載された人気エッセイを単行本化。「牧師ROCKS」のベーシストでもある著者が、世界教会会議や福祉団 体の研修などで訪れた約30カ国での出来事を軽妙な語り口で綴る。

 トルコでは、ケバブを買いに行った屋台で単発バイトと間違えられ働く羽目に。憧れていたスイスのアルプスでは、たまたま同行した「大阪のオッチャン」の強いイメージに塗り替えられる。レンブラントの「夜警」を観に行ったオランダの美術館では、居眠りの末、高い椅子から転がり落ちた警備員を体当たりで助け、ロサンゼルス空港では、入国目的を「お前を祝福するためだ」と答え、一発で審査を突破する。東南アジアでは狂犬病が深刻だが、香港では野犬に足を噛まれる。病院のワクチン接種でどうにか事なきを得、神の祝福はトラブルを回避できることではなく、トラブルが起きても神が共にいてくれることだと思い至る。

 著者はあとがきで「壁を壊した時にしか見えない景色があり友がいる。壁の内側での安心よりも、壁の向こう側で他者と出会える喜びの方が豊かだと信じたい」と語る。私たちが唯一壊せるのは「自分自身の中の壁だけだ」とも。

 どこの国で、どのような状況下でも、常に神と対話するロックな牧師。自分の壁を壊しながら他者と接する姿勢の結末は、常に笑いや友情に結びついている。肩の凝らないエッセイでありながら、ありのままの自分でぶつかっていく著者の生き方から、宣教の本質が見える。

 神さまの前で自分を偽らずに生きることで、人とのつながりが広がっていくことに気付く、希望の持てる良書。

【本体1000円+税】
【日本キリスト教団出版局】978-4-8184-1002-2

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