【既刊再読 改めて読みたいこの1冊】 『アジアにおけるキリスト教比較年表』 国際基督教大学 アジア文化研究所 編

国際基督教大学 アジア文化研究所 編『アジアにおけるキリスト教比較年表 1792(寛政4)~1945(昭和20)』(創文社、1983年)

 思想史家・武田清子(国際基督教大学名誉教授)は、20世紀の生き証人だった。ラインホルド・ニーバーを師として、日米交換船に乗り、ネルー元首相(インド1947-1964)と面会し、丸山眞男、鶴見俊輔らと「思想の科学研究会」を率いて、2018年4月に世を去った。武田は、本書まえがきにこのように寄せている。

 「世界に未だかつて試みられたことのない……西洋、および、アジアにおけるプロテスタントのキリスト教伝道活動、文化・社会の領域における諸活動の足跡を比較検討することを通して、今日より明日の世界におけるキリスト者の前進に新しい洞察と叡智と展望をあたえられることをねがうものである」

 「日本、および、中国におけるキリスト教の受容と近代化の課題を重要な研究テーマの一つとして……非西洋世界、特に、アジア諸地域へのキリスト教の伝播がどのようにして開始され、展開されたか、そして、それは、アジア諸国、特に、日本、朝鮮(韓国)中国、フィリピン、インドネシア、インド等において、どのような共通性と相違性をもって受容されたか。キリスト教化の波は植民化の波と重なって到来したのか、それとも別の波であったか? また西洋文化、ないし、キリスト教のインパクトは、アジア諸地域における価値観、人間観、社会観などにおける近代化の革新、あるいは、個としても、集団としても主体性の自覚としてのナショナリズムの台頭に、どのようなかかわりを持ったか? 明治維新、インド国民議会派の成立、辛亥革命等を対照して考えてみても、そこには、ナショナリズム=近代化の追求の仕方に、外発的要因と共に内発的要因が明確に見られる」

 戦前から戦後を駆け抜け、時代の移り変わりをみつめた武田清子だからこそなし得た仕事が本書である。全国98の大学図書館、または北海道、福島、神奈川、福井、大阪、奈良、徳島などの都道府県立図書館ほか地方公共図書館にて、閲覧可能となっている。近代国家の枠組みを超えて、アジアのキリスト教史を考える者に、本書は必ず応えてくれるだろう。

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN00797101

【本体 ― +税】
【創文社】

書籍一覧ページへ

TO TOP