【書評】 『続 この器では受け切れなくて――山谷兄弟の家伝道所物語』 菊地 譲

 東京・山谷で伝道所と弁当販売店「まりあ食堂」を開設、30年以上当地で伝道を続けている著者。出会った人々の回想や、フランクルの「夜と霧」、ヨブ記への思索など、本書はエッセイと思索で構成されている。『この器では受け切れなくて』(新教出版社、2012年)の続編。

 極度のアルコール依存症、ギャンブル依存症、幻聴に苦しむ人、自殺で亡くなった人など、山谷の人々はさまざまな重荷を負う。部屋で大量の虫にまみれて暮らす人、人型の雪を揺すると中に人がいて「大丈夫」と笑ったなど、山谷の人たちの日常は想像を超えた迫力がある。

 病を得ても自分の体を大切にせず、滅びるように日々を営む人たちのことを、著者は「ネグレクト=自己虐待」だと分析、その心身の状態に心を痛める。知り合った人たちの生活状況や病状を気にかけ、「まりあ食堂」では利益を度外視し、貧しい顧客たちのために値下げを決行する著者。彼らの中に分け入り、共に生きる姿は、イエスと重なって見える。

【本体1,800円+税】
【株式会社ヨベル】978-4-907486-74-7

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