【書評】 『わたしの信仰――キリスト者として行動する』 アンゲラ・メルケル 著/フォルカー・ レージング 編/松永美穂 訳

 キリスト教民主同盟(CDU)の地方選大敗でアンゲラ・メルケル独首相が窮地に立たされる中、彼女の信仰にまつわる良書が翻訳出版された。

 1954年、牧師の娘としてハンブルクに生まれ、生後間もなく両親と共に東独に移り住んだという稀有な生育歴の持ち主。2005年以来、首相としての手腕を発揮し、東電原発事故後の脱原発や、積極的な難民受け入れなどを推進してきた。

 本書には教会関係の集会などで語った講演や聖書研究など16編が収録されており、政治の場ではあまり語られる(報じられる)ことがなかった一政治家の信仰的な側面を垣間見ることができる。

 「多くの福音主義のキリスト者が教会を離れ、教会なしでも生きていけると考えています。でも、それは幻想ではないでしょうか?」「神はわたしたちを違う人間に創られたのですから、あれこれの問いに対して、違う人間であるにもかかわらず同じ答えになるというのは、本当らしくないことです。違いがあるからこそ、人生もおもしろくなるのです」

 「ヘイトスピーチやマスコミ批判が渦巻」き、「学校教育においては『宗教』の授業が『倫理』という科目に置き換わりつつある」というドイツの状況は、日本にも当てはまる。西欧のキリスト教が直面する課題、政治と宗教の関係、信教の自由のあり方、信仰者としての立ち居振る舞いなど、日本のキリスト者が学ぶべきことは多い。

【本体2,300円+税】
【新教出版社】978-4400407454

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