【書評】『ルターの脱構築―― 宗教改革500年とポスト近代』 江口再起

 ルター研究所所長の著者が、宗教改革500年を期に発表した論考や講演を加筆しまとめた書。

 ルターが中世のキリスト教を脱構築(解体構築)し近代に道を開いたことに倣い、ルターを脱構築し、現代社会の課題を探っていく。

 ルター神学の核心を「恩寵義認(恵みのみ)」(神からの恵みより救われること)と指摘、これを鍵に原発問題や格差社会について考察。

 宗教改革500年を語る時、常に3・11を意識していたという著者。ルターが「神の前」と「人の前」を混同させなかったことを挙げ、神の領域である「原子力」を、神の前に生きる我々が手を出してはならないと説く。格差社会の解消は高税率社会(=福祉社会)だが、北欧福祉社会の多くがルター派であることから、ルターの定義「人間は神から恵みを受けるだけの存在」の浸透を指摘する。

 ルターの宗教改革がいかに「社会改革」であり、今日の社会問題解決の鍵となるかを実感させられる。広く読んまれてほしい1冊。

【本体1,500円+税】
【リトン】978-4-86376-068-4

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