【書評】 説教黙想アレテイア 特別増刊号『死に勝つ慰め――葬儀説教をいかに語るか』

 1年4カ月ぶりの特別増刊号。「はじめに」で加藤常昭は「からだの甦りか霊魂の不滅か」に触れ、「死んで肉体を離れた霊魂は、天国に導かれ、永生を得て、先に逝った親しい者たちとの再会を楽しむ」という観念は、「多くの場合、悲しみのなかにある者たちの願望の反映でしかなく、日本人の一般的な死とその超克の願望に根ざすもの」であって、聖書に根ざすものではないと指摘。

 では、「聖書に根ざした」死の先にある慰めと希望とは何か。それは、「滅びるべき死者でしかない」私たちが、「十字架において罪人としてさばきを受けてくださり、死人のうちから既に甦ってくださっている」復活者キリスト・イエスの恩恵に根ざし、この方を「主として仰ぎ、その光のなかに立って礼拝する」ところで与えられる希望である。「その光のなかに私どもに先立って逝った者の心身を置く。なお生きて死者との別れを惜しむ者は、そこで主のいのちを告げる言葉を聴くのである」

 第1部、「聖書における死と死後の世界」(吉田新)では、死・陰府・復活とその希望を確認する。「葬儀の神学」(小泉健)では、日本的な死生観と文化との間でいかに神学するか、葬儀とは何かが述べられる。「現代におけるキリスト教葬儀の再構築――日本的葬儀文化とグリーフケアとの対話から」(中道基夫)は、キリスト教葬儀の日本的変容と現代の課題を、グリーフケアのニーズに触れつつ考察する。第1部の最後は「自死――葬儀と牧会の課題」(大浜英樹)を扱う。「自死の非異形化」という言葉が深く印象に残る。第2部は説教黙想、第3部はブックガイド。第4部「先達の説教に学ぶ」では、矢内原忠雄と武藤健による葬儀説教に学ぶ。

 「死」を通して、私たちの想いは人間・世界・宇宙・神へと広がっていく。葬儀説教のもつ豊かさと希望を損なわぬよう、心して語り、また聴く者でありたい。

【本体1,852円+税】
【日本キリスト教団出版局】

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