【雑誌紹介】 自らの傷の痛みを他者に差し出し 『信徒の友』4月号

 イエズス会司祭の酒井陽介が特集「イースター 関係性の回復を」で「傷ついた癒し人」ヘンリ・ナウエンに「聴いて」いる。

 ナウエンは、関係性の回復につながる癒やしは、相手に完全に注意を向けた「もてなし」のうちに起きると言います。それは苦しみを取り去る特効薬ではなく、痛みを他者と分かち合う隣人としての出会いと交わりに他なりません。もてなしに必要な第一の要素は、もてなしを実感できる共同体と呼ばれる場所です。苦痛の分かち合いに始まる希望の探求という隣人としてのもてなしが、共同体を作り出します。……

 新しいいのちの主に出会うとき、私たちは、傷を抱えながら、新たな愛の萌芽を感じる再生の体験をします。弟子たちがそうであったように、その体験を他者に伝えたいという思いが、人をキリストに、そして他者に向かわせます。傷を負いながら、自分の中に新しいいのちの鼓動を感じ、その鼓動を伝えたい思いが生じます。傷ついた癒やし人になりつつある自分を受け止め、ありのままの自分を差し出します。

 キリストの死を思うとき、愛は深められ、復活の信仰が私たちを支えるように、イエスが私たちに感じた哀しみは愛の賜物であり、その賜物によって私たちは贖われ、癒やされ、生かされます。人間誰しも、いまだ「復活」を体験していません。しかしこの世における権やしという再生の体験をとおして、少しだけ先取りして復活の意味を味わうことができるのではないでしょうか。

【本体543円+税】
【日本キリスト教団出版局】

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