【雑誌紹介】 何とでも合体できるアニミズム 『福音宣教』4月号

 リレー座談「私と、家族と、社会とのかかわり」で首都大学東京教授、社会学者の宮台真司が聖書を読み始めて惹かれたのは善きサマリア人の話ですと言う。

 ……みんなを救いたい人たちはアジアの古いアニミズムがなじんだのです。もともとはアニミズムは「万物に精霊が宿る」というのとはちがって、何とでも合体できるという発想です。それは狩猟採集の生き残りの作法から出てきました。ハンティングを成功させるためには、鹿や熊になりきらなくてはいけない。相手になりきらないと、獲物は捕れないんです。なりきることはほとんど愛に近い。でも、完全に愛に溺れると相手が逃げるか自分が喰われてしまう(笑)。……

 鹿や熊が人から逃げるのは、鹿や熊も、人になりきるからです。彼らは人間の武器を見て、人になりきって安全距離を確保する。だから、アニミズムの合体は、原理的には双方向です。これがアニミズムの原型だというのが今日の人類学の見解です。境外線がかりそめなものだった、というのがアニミズムです。先住民の思考では、獲物だけでなく、森や川にもなりきれます。獲物だけでなく、森も川も、人を見ることができるからです。人は、自分を見る存在には、合体できます。そのことだけが、アニミズムの実践的な本質なんですね。

【本体600円+税】
【オリエンス宗教研究所】

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