【書評】 『二人の自分――心の動きをみつめて』(改定版) イシドロ・リバス

 「霊操」を基に、神のみ旨に沿った歩みを選び取る「霊動識別」を勧める本書。初版から36年、度重なる増刷を経て、このたび改定版が出版された。

 プロテスタント教会では馴染みがないかもしれないが、「霊操」はカトリックの世界で実践されてきた「霊的エクササイズ」の一つ。創始者のイグナチオ・デ・ロヨラによれば、それは「糾明、黙想、観想、口祷、念祷、その他の霊的働きをするあらゆる方法をさす……これによって、霊魂はすべてのよこしまな欲情を除き去るとともに、これを除き去ったのち、救霊を得るため自分の生活をととのえるうえに、神のみ旨を求め、見出す」ものである。

 どんな教会でも、「神のみ旨」を聖書と祈りをとおして尋ね求め、それに従うことの大切さについては語られているだろう。しかし、個人や集団の問題・課題について、聖書と祈りだけで「神のみ旨」にたどり着き、しかも確信を得るに至ることが実際には難しいと感じたことはないだろうか。また、自分よりも神に従う決意が定まらない心を責めつつも、そのような自分が変えられるために、より具体的な手引きや的確な指導がほしいと願ったことはないだろうか。

 もしそうであれば、「霊動識別」の意義と、初歩的だが具体的な「方法」を簡潔にまとめた入門書である本書が一つの助けになるかもしれない。もちろん、本書に書かれた考えや方法だけが、自分を乗り越えて神のみ旨を生きるための唯一の道筋ではないが、教派の別なく理解し共感できることや教えられることは多い。

【本体750円+税】
【女子パウロ会】978-4789608022

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