【書評】 『ボディ・メモワール――痛みを通して伝わった不思議な命の共振』 熊谷幸子

 「産道を潜り抜ける苦痛から始まり、その後、私は八十六年の歳月を今も生きている。命について考える時、時間はいつもついて回る……果たして痛みを感じる心は、否、痛みとは、命からの根源的な贈り物なのだろうか。身体的な痛みは、言うに及ばず、記憶の、家族の、歴史の、魂の、未来の、痛みをあぶ炙り出し、書き止めておきたかった。人を真に優しく、強くするものは、痛みを通してしか伝わらぬ不思議な命の共振ではないか、と、問いかけながら」

 癌と脳梗塞を通して感じ得たこと、学び得たことを綴った本書。著者はクリスチャンだが、信仰という言葉で体験を「飾る」こともない。しかし、冷静でありながら豊かな情緒あふれる言葉からは、人の痛みに深く共感しつつ、命の不思議を愛でる神の瞳が透けて見えるかのようだ。

【本体1,200円+税】
【青娥書房】978-4790603658

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