【書評】 『教派擬人化マンガ ピューリたん』 SONO 作/波勢邦生 監修

 世界の国々に人格をもたせてキャラクター化し、一大ブームを巻き起こした伝説的作品『ヘタリア』以降、『艦隊これくしょん』(戦艦)、『けものフレンズ』(動物)にまでつながる「擬人化」の波に乗っからないわけにはいかないと、満を持して連載した「教派擬人化マンガ」が、ついに待望の単行本化。2015年4月11日付から2018年4月11日付までの全60話に、雑誌「Ministry」に掲載した「宗教改革の旅」、同人誌に収録された番外編、教派が誕生するまでを描いた描き下ろしを加え、付録にカードゲームも付けた豪華版。

 単行本化に際して、「そもそも教派はなぜできた?」「ピューリタンって誰?」「実は同じ教派でもこんなに違う?」「マンガに登場しない教派」との解説コラムも監修者が書き下ろした。

 教派の違いを「楽しみながら学べる」小ネタが随所にちりばめられ、元ネタとなった歴史を知っていれば、より一層楽しく読めるはず。特に複雑すぎて分かりにくいプロテスタント諸教派の相関関係やそれぞれの特徴について、各キャラクターの性格を通してゆるく知ることができるのが何よりの特徴。

 本書を入門として、さらに教派への興味を抱いた読者には、八木谷涼子さんの『なんでもわかるキリスト教大事典』(朝日文庫)をお勧めしたい。併せて読むことで、間違いなくキリスト教への知識だけでなく、世界史や文化、芸術をたしなむ上での助けになる。

 作者は、「教派という概念をまず伝えたい」との思いから、あえて「学園もの」「日常系」という形態を選んだという。「この大きな学び舎には、まだ出会ったことがない生徒がたくさんいます。同じように、私がまだよく知らない教派もあるはずです。一つの教派の中にもさまざまな人がいます。日常系の物語には終わりがありません。これから、友だちのまだ知らない一面に触れていく可能性が無限に残されているのです」

『もっと教会を行きやすくする本』 八木谷 涼子

【新刊】 『教派擬人化マンガ ピューリたん』 SONO 漫画/波勢邦生 監修

【本体2,000円+税】
【キリスト新聞社】978-4873957593

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