【書評】 『ディズニーランド研究 世俗化された天国への巡礼』 宮平 望

 副題「世俗化された天国への巡礼」が示す通り、本書は現代において圧倒的なリピーター率を誇るテーマパークに関する研究書だ。

 著者は、西南学院大学で教鞭をふるう著名な神学者。アメリカ思想・神学から聖書注解まで幅広い視野で、「ゴスペル」シリーズなど著述を通して現代社会に語りかけてきた作家でもある。膨大なディズニー文献から、ウォルト・ディズニーの生い立ち、キャリア、信仰・思想から、テーマパークの構造と機能の分析、その宗教性に至るまで、多面的なアプローチを試みる。

 「趣味が研究に、遊びが学問になっていき、大学においてこれらの前者と後者は本来一つであることに多くの人が気づくだろう。いわゆる『エデュテインメント(edutainment=education+entertainment)』の領域の発見である……今やスタン・A・リンゼイによる『ディズニー学ウォルト・ディズニー・ワールドにおける宗教的修辞学』にあるように『ディズニー学(Disneology)』が提唱されている」

 著者によれば、本書の誕生には学生たちのフィードバックも関わっている。それを示すように、本書構成は研究入門書となっていると同時に、学的水準を落とすことなく研究の醍醐味を知れるよう配慮が行き届いている。結章「影の宗教」としてのディズニーランドでは、世俗・天国・巡礼地という観点から分析がなされる。

 著者の教師としての学生への熱量を感じられる筆致は、文字通り「ジェットコースターに揺さ振られて異次元時空を邁進」したような読後感を与えてくれる。文化について考察するすべての人にオススメしたい。

【本体2,000円+税】
【新教出版社】978-4400407461

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