【既刊再読 改めて読みたいこの1冊】 『基督教史料展覧会目録』パンフレット

 時代が「昭和」へと改元される約一か月前の大阪、1926年/大正15年11月20-21日。大阪基督教青年会(現在のYMCA)にて「基督教資料展覧会目録」が行われた。パンフレット序文にはこのようにある。

「大阪基督教青年会の石田氏の請によって俄に思い立ちまして、このキリスト教史料展覧会が出来上がりました。今回はほんの試みに過ぎなかったので、次回には弘く各方面から蒐集してみたい希望を有っております。この会に種々資料を提供してくださいました諸氏に厚く御礼申し上げます。 福音社 矢部良策」

 この福音社の矢部良策は、言わずもがな、のちの創元社の創業者である。福音社・今村謙吉の後継者・矢部外次郎の次男が良策である。

 本パンフレットは展示品を合計150品、三部に分類している。第一部は「慶長版日本耶蘇教会刊行書類=写真」で「どちりな、きりしたん」など12品。第二部は「明治以前のキリスト教に関する書類」で「破提宇子」「耶蘇天誅記」など18品。第三部「明治以後に於ける基督教に関する書類」は年代順に著作物と翻訳が列挙され、「天道遡源に関する書類」「天路歴程に関する書類」「聖歌に関する史料」「基督教新聞に関する史料」「聖書に関する史料」「我国において翻訳せる聖書」「聖書註解に関する史料」と続く。

 キリスト教の新聞・雑誌については明治14年以来の「七一雑報」全52号、「よろこびのおとづれ」「耶蘇新教雑誌 第一号」「同志社大学雑誌」「同志社文学」の原稿などが展示品目として上がる。また各国語の聖書も展示されていた。英仏独露羅伊など主要なキリスト教圏の翻訳に加え、ヘブライ語とギリシア語、また英和対照、日英の点字訳、エスキモー、クリー、アイヌ、サンスクリット、ベンガル、チベットなど当時の日本人には珍しい翻訳聖書も並べられ、エスペラント語訳まで置かれていた。

 明治・大正期のキリスト教への関心の高さがうかがえる貴重な資料。

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