【雑誌紹介】 朝鮮半島への嫌悪が表面に 『福音と世界』10月号

 特集≪朝鮮半島と日本のあいだ≫。『言説の布置を見る――歴史修正主義とあいちトリエンナーレ事件をめぐって』(倉橋耕平=立命館大学ほか非常勤講師、社会学・メディア文化論・ジェンダー論専攻)、『「慰安婦」を忘却させる植民地主義とポストフェミニズム――「帝国の慰安婦」、スピヴァク、ポストコロニアル(菊地夏野=名古屋市立大学教員)、『日本と、絶望と、私と、韓国』(長尾有紀=日本基督教団から韓国基督教長老会へ派遣されたミッション・コーワーカー)、『わたしはあの中黒(なかぐろ)にいるのだと思う』(金村詩恩=日本籍の在日コリアン三世)、『未完の2・8独立宣言――在日本韓国YMCAにきく100年目の問い』(編集部)。

 ≪かつて日本が朝鮮半島の人々に対して何をしたのか。その有責性を確認し、誠実に被害者に向き合い、過ちを繰り返さないために努力し続ける必要性を日本は十分に認識してこなかった。そればかりか歴史修正主義的な立場をとる政権を生み出し、いまや政府と多くの市民が一緒になって朝鮮半島への嫌悪を露わにしている。私たちは何から目を背け、何を目指しているのか。誰を「外/敵」とし、誰を「内/味方」としているのか。こうした行いは、いったい何を守るためのものなのか――「和解」や「平和構築」という言葉がもはや陳腐にすら聞こえる現状にあって、それでもそれを諦めないために、本特集をお送りする≫と特集前文で編集者は言う。

 『佐藤優のことばの履歴書』第67回『北東アジアの地政学的変動』で佐藤は≪この時点で韓国が日本との関係を決定的に悪化させる方向に舵を切った要因は、二〇一八年六月一二日のシンガポール米朝首脳会談後に生じた北東アジアの地政学的変動と見ている。……日韓関係が改善するタイミングはいつ到来するのであろうか。筆者は日朝国交正常化交渉が本格化するときと見ている。その根拠は、一九六五年の日韓基本条約にある。……日本が北朝鮮と国交正常化するということは、朝鮮においては大韓民国だけでなく、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も合法的な政府であることを認めることになる。従って、日韓基本条約の改定が不可欠になる。このときに日韓関係が全面的に見直され、新たなゲームのルールが構築されることになる≫と。

【本体588円+税】
【新教出版社】

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