【雑誌紹介】 天皇制を拒否するために 『福音と世界』11月号

 特集「天皇制を拒否するために」は、「天皇制を拒否する」ことを前提としての企画。同志・朴烈らとともに不逞社を結成、皇太子裕仁を爆殺しようとした大正時代のアナキスト、金子文子を取り上げた。その《論旨は明快、ただの人間にすぎない天皇がまるで神のごとくふるまい、民衆を仕えさせ、搾取している。おかしい。倒すしかない。それは、「完全に自己のために行動」するという自愛の信念をもって生きた金子にとっては、まったくの必然だった》。

 《本特集は、その意志を継ぐ。爆弾を投げようというのではない。天皇制に「象徴」はもちろん一切の役割を期待せず、端的に退けるのだ。まずはその統治が事後的に正当性を与えられた擬制(フィクション)であることを暴く。天皇による「国民統合」は、綻んでいる。天皇家の温情的なみぶりの差別性を喝破し、そこから離脱する力を練り上げねばならない》。

 「『象徴』の政治、外への祈り――天皇制から離脱するために」(守中高明)、「天皇制論の罠」(小泉義之)、「天皇制と男女平等――私たち自身の将来のために」(牟田和恵)、「天皇制を語れ、だがそのまったき無根拠性において」(綿野恵太)、「植民地主義とキリスト教社会主義者群像」(太田昌国)、「虹作戦の喪失と回復」(友常勉)、「拒否を宣言する――天皇制に抗うキリスト教界の声」(編集部)。

 連載では、「教父学入門3 アンティオケのイグナティオス」(土井健司)、「佐藤優のことばの履歴書68作家と編集権」、「レヴィナスの時間論『時間と他者』を読む55」(内田樹)など。

【本体588円+税】
【新教出版社】

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