【書評】 『ビジュアル 新生バチカン 教皇フランシスコの挑戦』増補改訂版 デイブ・ヨダー 写真、ロバート・ドレイパー 文、高作自子 訳

 2013年に就任して以来、カトリック教会と「教皇」のイメージを次々と塗り替えてきた、「改革の旗振り役」「型破りな」教皇フランシスコ。その素朴さと親しみやすさ、清貧と「普通」であろうとする生活態度などから、「身近な」「庶民派の教皇」とも評され、愛されている。

 この教皇のもと、聖職者による性的虐待や金融スキャンダルにメスが入り、これまで注目されなかった地域、文化、人々にも目が向けられるようになってきたカトリック教会の「大改革」を、期待を寄せる人々が世界中にいることだろう。一方で、バチカンはいまだ謎多き場所であり、「身近な教皇」という言葉もどこか「矛盾した響きを持つ」。

 では実際に、教皇フランシスコとはどのような人物なのか。長期密着取材でその発言や行動から教皇フランシスコの知られざる真の姿と、改革の理念に迫る本書。「教皇を一番よく知っているのは、バチカンの住人ではなく、ポルテーニョ(〝生粋のブエノスアイレス市民〟の愛称)たち」との気づきから、アルゼンチンまでも取材の足は伸びる。そこで「小さくされた人々」と共に歩んできた時間や、神との関係の中で養われた霊性からくる言葉の数々に触れると、「教皇」と呼ばれるこの人物をどう理解し受容するべきか、おのずと考えざるを得ない。

 「私は〝絶対的〟な真理を説こうとは思いません。それを信じる人に対してさえも。……真理は神との関係の中にあると思うからです。わたしたちそれぞれが真理を解釈し自分の言葉で表現すればいいのです。つまり、個々人の置かれた状況や文化、暮らしによってその言葉は変わってくるのです」

 その言動によって、人々に驚きと感動を与える一人の「牧者」が間もなく来日する。

【本体2,800円+税】
【日経ナショナル ジオグラフィック社】978-4863133457

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