【雑誌紹介】 ゼノさんに免許証でサービス 『聖母の騎士』4月号

 「蟻の街のゼノさん」として知られ、第二次大戦後、戦災孤児や恵まれない人々の救援活動に力を入れたゼノ・ゼブロフスキー修道士を、長崎の聖母の騎士修道院に住む水浦征男神父が綴る。「50年間お世話になった車の運転免許証を昨年12月に長崎警察署に返納した。……昨今、高齢ドライバーによる交通事故が多発していること、自分の体調が思わしくないことが免許更新を諦める理由だった。一抹の寂しさは覚えるが、大事故を起こす前に決断したことは良かった」

 「1975(昭和50)年ころ、東京・練馬区関町の修道院でゼノ修道士と生活を共にしていた。……ゼノさんは、そのころ、足が弱って、独りでの外出が困難になっていた。毎朝、私の部屋にやって来ては『きょう、マチ行っていいですか』と許可を求めた。ゼノさんの『マチ行っていいですか』の意味は、『外出していいですか』。それに対して私は決まって『ダメです』と答えていた。そんなある日、静岡県の小学生から手紙が来た。『ゼノさん、ぼくの家に遊びに来てください』とあった。日ごろ、外出を断っている手前、ゼノさんに『静岡に行きたいですか』と尋ねると、『行きたい』との返事。私が車を運転して、ゼノさんを静岡まで乗せて行った。御殿場近くのカトリック信者のお宅だった。ゼノさんは久しぶりの長距離ドライブを楽しみ、上機嫌だった。質素な家庭だったが、夫婦と小学生の男の子の三人家族に歓迎された。和食の心づくしの夕食をご馳走になった。食事のときの飲み物は大好きな『黒い水』。ゼノさん流にコカコーラを黒い水と呼んでいた。珍しい五右衛門風呂に入れてもらい、浴衣を着せていただいて休んだ。翌日は、帰り道に、有名なハンセン病の神山復生病院に立ち寄った。ここには、60年以上も看護師として働いていた高齢の井深八重さんがいた。井深さんとゼノさんとは旧知の中。お互いに手を取り合って大喜びだった。こうして一泊二日のゼノさんの静岡旅行は終わった。……免許証のお陰でゼノさんにささやかなサービスが出来たことは幸いだった」

【本体225円+税】
【聖母の騎士社】

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