【雑誌紹介】 徳について聞かなくなっては… 『カトリック生活』5月号

 特集「徳について考える」。「徳の飾りよりも――金鰐次兵衛が求め続けたもの」(宗任雅子=日本文藝家協会会員)、「小高毅神父に聞く『徳についてとらえ直す』」、「徳の意味について――常に善を求めてたゆまぬ努力を積み重ねる、ひとがらの卓越性」(阿部仲麻呂=サレジオ会司祭、日本カトリック神学会理事)。

 小高は言う。「確かに第二バチカン公会議後、修徳とか寛徳とかいう言葉は用いられなくなってきたかなと思います。カテキズムに徳についての項目はあるけれど、それは多くの人にピンとこないものになってしまったようです。でもやはり、私たちは徳について現代的にとらえ直していく必要があるかと思います。……公会議後、徳と同じようにあまり言われなくなった言葉があります。免償や全免償です。ゆるしの秘跡のときに教会は償いを命じます。償いは主に特定の祈りや善業ですが、この償いの一部あるいは全部を免除されるのが免償です。免償を得るための条件に、教会が定めた事柄を果たすことがあります。これは徳を積む事とつながっています。これが個人主義的という印象を与えていたことは確かです」と。

 さらに「公会議では、何よりもエウカリスチア(ミサ)が、すべての頂点、すべての聖性の源だということが協調(ママ)されました。これはすばらしいことです。かつてはミサそっちのけで全免償をもらうための、規定の祈りを唱えるようなこともありましたから。だから全免償を与える大聖年や巡礼はプロテスタント教会からは長らくカトリック教会への批判の対象となっていました。これでは、救いを得るためのギブ・アンド・テイクじゃないかと」。

 「まさに今、今回の新型コロナウイルスによるパンデミックの状況下にあって、素早くバチカンは『ゆるしの秘跡』に関する教令を出しました。個別の告白なしに多数の人にゆるしを与える一般赦免の適用に関することです。……公会議の一つの大きなテーマは恵みでした。私たちの功徳よりも神の恩恵の力が優先することが再確認されました」。

 阿部が、巻末に「カトリック世界のトピックス《特別編》」で「カタカナ用語の覚え書き」を提供している。

【本体200円+税】
【ドン・ボスコ社】

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