【書評】 『洗礼を受けるあなたに キリスト教について知ってほしいこと』 越川弘英、増田 琴、小友 聡、柳下明子、山本光一

 「洗礼は私たちの一生にかかわる出来事です。洗礼を受けるに際して、私たちはこのことを深く心に留めなければなりません。なぜなら洗礼を受けることは、ある意味において、私たちの人生を複雑で難しいものにするからです。キリスト教徒になることもなければ気づかないままで過ごしたであろう課題や関わらなくてもよかった関係に、私たちは出会うことになるでしょう。洗礼を受けることは、私たちの人生を複雑で難しいものにします。しかしまた洗礼を受けることは、別の意味において、私たちの人生を生き生きとした豊かなものにします。イエス・キリストの福音は、私たちの価値観、人間と世界に対する関係を新たなものに変えてしまうからです」

 「序 洗礼を受けるということ」の中で、まずクリスチャンになると、人生が複雑で難しくなるという事実に触れている点は面白い。続く「第一部・人間と宗教」では、人間は「いったい私は何者か」「私はどのように生きるべきか」を問う生き物であり、宗教とは、この問いに対して一定の回答という「ご利益」を与える営みであると説明する。

 本書は「人間とは」「宗教とは」という一般的な話題から入り、徐々に神について、罪について、聖書について、そして教会についてと「核心」に近づく流れとなっている。ことに、求道中の方に「教会とは何か」「礼拝とは」「受洗後の生活や人生について」つまり受洗後も続く事柄について知ってもらうことは非常に重要である。

 副題に「キリスト教について知ってほしいこと」とあるように、本書は求道中だけでなく、受洗して間もない方や、すでに信仰を持って長い方の学び直しのテキストとして必要と思われる内容が網羅されている。教会や個人でぜひ活用してほしい。

【本体1,600円+税】
【日本キリスト教団出版局】978-4818410527

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