【雑誌紹介】 あえてコミュニズムを「信じる」 『福音と世界』7月号

 特集「コミュニズムの現在性<アクチュアリティ>」。幾度となく試みられた「共産主義<コミュニズム>」の実験は失敗に終わったと語られてきた。本特集はあえてコミュニズムを「信じる」ことに賭ける、と編集者。

 続けて「『共産主義』<コミュニズム>という言葉を葬り去ろうとしても、その言葉が内に含むものを葬り去ることはできないはずだ。『共<コモン>なものthe common(s)』は、私たちが日々関わり、それが欠ければ社会を維持し生活していくことができなくなるような生の条件であり、私たちの存在のあり方でもある。私たちは空気、水、土地、森林といった自然の賜物によって生き、言語、知識、情動、ケアの能力といった社会の維持と再生産に不可欠な『共<コモン>なもの』に絶えず関わり、それらを生み出すことに参与している。こうした観点から見た場合、私たちは皆どこかで『コミュニスト』であるだろう」と。

 さらに「しかし、COVID-19の世界的流行は、いかに『共<コモン>なもの』が資本によってその価値を低く見積もられ、国家によって管理・利用され、家父長的家族の中に押し留められて、不可視化されているかを浮き彫りにしている」と。

 「フランス現代思想における信と共」(市川崇=慶應義塾大学文学部教授)、「資本のコミュニズム あるいは認知資本主義の両義性?」(山本泰三=大阪産業大学教員)、「ウイルス・プラネットとエコロジーの政治学――人新世・コミュニズム・芸術」(清水知子=筑波大学人文社会系准教授)、「フェミニズム/再生産/コモンズ――シルヴィア・フェデリーチの議論によせて」(小田原琳=東京外国語大学総合国際学研究院准教授)、「抵抗なき逃走は連帯をなすか――欲望と政治の在処について」(小林卓也=大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学)、「時よ、(しょっちゅう)止まれ」(入江公康=非常勤講師)。

【本体588円+税】
【新教出版社】

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