【雑誌紹介】 理想の国を作りあげようと 『信徒の友』9月号

 特集「創業者の信仰――神と人とに仕えて」。同志社女子大学准教授・山下智子が「明治期のキリスト者たち」で「明治維新を経て、国が大きく変わろうとするとき、理想の国を作りあげようと、自覚的に世に仕えて行ったキリスト者実業家たちがいた。彼らを愛の業へと突き動かしたものに迫る」と説く。

 「明治期、プロテスタントの宣教師はもちろん、いわゆるお雇い外国人の中にも、居留地や招かれた場所において、教育・医療・福祉などの業にキリスト教精神で積極的に取り組んだ人々がいました。当時のキリスト教は私たちが考える以上に差別偏見にさらされ困難な状況に置かれていましたが、それでもキリスト教を信じる者が現れました。西洋文明を学ぶことに新たな活路を見いだした青年たちが、外国人教師らとの人格的な交わりをとおして信仰に導かれていったのです」と。

 続けて「鹿鳴館に顕著なように、明治政府は表面的物質的な意味でのみ西洋文明を取り入れることに熱心でした。それに対し、キリスト者となった人々は西洋文明の根底にあるキリスト教的な自由や平等の精神、隣人愛や奉仕といった倫理観を受け入れなければ真の近代国家建設はないと考えましたそこで逆境に負けず伝道宣教に励んだのです……こうした日本人指導者の働きもあり、キリスト教は次第に居留地や都市から地方へと広がっていきました。そこでキリスト教を受け入れたのは、地域のリーダー的な立場にあった素封家、豪農や豪商でした」と。

【本体543円+税】
【日本キリスト教団出版局】

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