【書評】 『ここが知りたいキリスト教への25の質問』 百瀬文晃

 元上智大学教授で、現在カトリック広島教区で司牧にあたる著者。本書は、著者が出演したキリスト教放送局FEBCの番組「神父さま こんなこと聞いてもいいですか?」に寄せられた質問に、聞き手の吉崎恵子氏との対話形式で答えるという内容である。

 本書の特色は、「聖書をどう読むか」を鍵として、ときに質問の中にみられる問題点(誤解や矛盾点など)を指摘しつつ、聖書が書かれた時代、個々の状況という文脈を考慮したり、聖書の独自の表現方法を解説したり、矛盾に見えるものの間に整合性をつける道筋を示しながら、質問者が抱える疑問や苦悩に回答していく点である。

 例えば、「皆殺しを命じる旧約聖書の神が恐ろしい」という質問に対しては、愛を命じる神が戦争を支持したり鼓舞したりするはずがないという前提に立ち、旧約聖書が神から聖霊を受けて、深い宗教体験をしたイスラエルの民が言い伝えた信仰とその解釈を編集し収録したものであること、その際「彼らの宗教体験の解釈に偏りや極端な考え方が混入するのも、不思議ではない」こと、その記述には書いた人々の置かれた状況、考え方、言葉の使い方が反映されること、「だから、神様が戦争を奨励する記述など、それは神さまの意志というよりは、それを神さまの意志と理解した、当時の人々の考え方を反映したもの、と言ってよいと思います」と答える。

 他にも、過去にたびたび「キリスト教Q&A」の本で取り上げられてきただろう質問に、「聖書の読み方」を学ぶことの大切さを訴えつつ、司牧者として、共感と柔らかさと理性をもって語る。

 著者の聖書観や解釈の仕方に抵抗を感じる読者もいるかもしれないが、例えば旧・新約聖書の神イメージを「愛」で一貫させる、その一点だけを取っても、聖書を「理性」で読む側面も必要であることが本書から分かるはず。神への信頼と理性が、聖書からの深い慰めや希望を示してくれる。

【本体1,500円+税】
【女子パウロ会】978-4789608213

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