【雑誌紹介】 黙示的な想像力をもって 『福音と世界』10月号

 特集「疫病と文明の終わり」。「フランスのメディア『ランディマタン』に三月二一日に掲載された論説『ウイルスの独白』の一節である。世界を席巻する新型コロナウイルスの視点に立ち、『文明の終わり』が語られる。国家と資本主義という文明の様式が自然を掘り崩し、いのちを粗末にして富を高く積んできた結果として、このウイルスはあらわれた。それが証しするのは、文明が辿ってきた自滅的な道のりだ。この道を離脱し、自然と、隣人と生きるにふさわしい『習慣』を発明せねばならない。これからも、この星に住みたいと願うならば。

 ……本特集はこの独白に、黙示的な想像力をもって応える。国家‐資本が企てる『規律の大規模な回帰』を退け、その統治にはっきりと終わりを告げねばならない。統治はあくまで人口全体の安寧にしか配慮せず、その裏には力なき存在を死に追いやる本性が刻まれている。では、『気づかい』の『回帰』などはたしてありえるのか。文明から離れ自然と別様に交わること、規律化され硬直した身体を解き放つことは難しいが、統治への欲望ではなく、それを断ち切る愛に根ざしてこの疫病禍を生き抜く実践が背中を押してくれている。そう、黙示とは、ありうべき世界を、希望を語ることなのだ」と編集者。

 「黙示的想像力をとりもどす――パンデミック資本主義と対峙する解放の神学」(有住航=日本基督教団下落合教会牧師)、「人口対人民――生政治と恒常的危機に抗する政治的主体の構築」(箱田徹=天理大学人間学部准教授)、「トリアージ・捕虜・廢兵」(坂井めぐみ=立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)、「ウイルス・依存症・エコロジー」(村澤和多里=札幌学院大学心理学部教授)、「身体と相互作用のこれまでとこれから」(草柳千早=早稲田大学文学学術院教授)、「この文明には愛(エロス)がない」(酒井隆史=大阪府立大学教員)。

【本体588円+税】
【新教出版社】

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