【雑誌紹介】 カトリックは美しい 『カトリック生活』2月号

 特集「映画の中のカトリック」。冒頭の「カトリックは、美しい。」で東京教区浅草教会・上野教会主任司祭の晴佐久昌英が言う。「一九七九年五月八日、神保町の岩波ホールで、一本の映画を観た。三時間を超える長尺だったが、圧倒的なリアリズムの中に素朴な信仰の気高い香りが立ち上るという、奇跡の映画世界に引きずり込まれてしまった。……映画のタイトルは、『木靴の樹』。イタリアのエルマンノ・オルミ監督の最高傑作である。……この日の体験はあまりにも強烈で、それまでの映画観を一変させられたし、その後さまざまな形で映画に携わることになる原体験になったと言ってもいい。当時二十一歳、神学校に入る前年のことである」と。

 「この映画のどこに、それほどの強い印象を受けたのか。ひとことで言えばこのとき、キリスト教の真の普遍性を体感したのだと思う。……出演者は全員素人の農民たち。全編ロンバルディア地方でのオールロケで、撮影はすべて自然光のみ。あたかも現実の出来事を撮っているかのようなその映像に心奪われたし、目前に映し出される彼らの生活はあまりにも美しかった」と続ける

 「当時の自分にとっては、生活と信仰の両立はとても難しいことだった。世俗化の極まった現代社会にどっぷりとつかっている日常から見れば、教会の世界はあまりにもきれいごとの理想論ばかりで現実離れしている。かといって幼児洗礼の身には教会を捨て去ることは到底できない。司祭召命について真剣に考えていた時期でもあり、『生きること』と『信じること』がきちんと結び合わない限りは一歩も動けない。そんな気持ちだった」。

 「ところがその日、それがありえないほど美しく結ばれている生活を体験してしまったのだ。そして、直感したのだと思う。かつて当たり前に存在したはずの、このような家族的に助け合う共同体を、『宗教』を超えた普遍的な形で取り戻すことは、現代の日本でも可能なはずだし、そこに奉仕することこそが教会の真の役割なのではないか、と。困難な生活の現場こそが聖堂であり、つらい日々の働きもまた祈りであるという、普遍的信仰。オルミ監督が見せてくれたその世界は、イエスが実際に見せてくれた神の国に、この時代のこの自分でも奉仕できるはずだという、美しい希望を与えてくれたのである」。

【本体200円+税】
【ドン・ボスコ社】

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