【雑誌紹介】 いのちの危機とそこからの脱出 『福音宣教』3月号

 巻頭特別企画「地球のためのキリスト教」第3回「危機の中で聖書を読む」(福嶋揚=神学者)。

 「そもそも大昔に書かれた聖書と現代に生きる人々とのあいだに、どのような接点を見いだすことができるでしょうか。二〇〇〇年以上の時を隔てた、大きく異なる二つの世界のあいだに、どのような橋を架けることができるでしょうか」

 「この点に関しては次回より詳しく論じる予定ですが、まずさしあたり、聖書の世界と現代の世界に共通する経験とは、いのちの危機とそこからの脱出を模索することだと言えないでしょうか。聖書は構造的な危機――つまり単に個々人の過失ではなく政治的社会的にもたらされた危機―――の中で、民衆が共に生き延びるための知恵や希望を指し示しています」

 「現代人もまた、貧困や抑圧の中で生きている経験に基づいて、古代の聖書を新しく読み直す可能性を持っているのではないでしょうか。貧困や抑圧は今や一部の限られた人々の経験ではなく、ますますグローバルな多数派のものとなりつつあります。もちろんその経験は、地域や人種や民族や階級やジェンダーなどによって異なる、ひとくくりにはできないような多種多様な経験ですが」

 「貧しさや抑圧の経験を手がかりとして聖書を読もうと言うと、それは何か一面的で偏った読み方ではないかという疑問が生じるかもしれません。確かにそれは中立的ではなく、いわば党派的な読み方です。けれども解放の神学は、そのような党派性こそが実は社会システムの全体を視野におさめることができる唯一の立脚点だと主張してきました。なぜならば、生存を脅かされる最底辺や末端の状況――例えば非正規や外国人の低賃金労働者がおかれた状況――においてこそ、その社会の欠点や矛盾がもっとも露わになるからです」

 「世のメタファーを読む=ビートルズと共に去りぬ」(濱田欧太郎=フランシスコ会士、横浜教区長野教会および篠ノ井教会主任司祭、社会福祉法人アントニオ愛児階理事長)、「月間テーマ 孤独と絆=孤独死を弔い続けて」(金子雄貴=照天神社宮司)。

【本体600円+税】
【オリエンス宗教研究所】

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