【雑誌紹介】 聖書は人間の出直しの物語 『福音宣教』5月号

 「アンジェラスの鐘――父娘対談(一)人生の最善手」(加藤一二三×加藤美紀)。「娘 この日のために、パパが書いたいろんな本を改めて読み直してみたんだけれど。……『負けて強くなる』(宝島社)の中で『聖書は人間の出直しの物語』って書いてあるの、『ああ、いいなあ』と思って。『出直しの物語』っていう表現は、他では読んだことがなかったわけ。この対談の前にね、お姉ちゃんとパパの思い出話をしていたの。そうしたらお姉ちゃんは中二くらいの時にパパが話してくれた言葉が忘れられないって。『これまでダメだったから自分はもう変われない、って考えるのを敗北主義というんだ。神様の恩寵で人間はいつでも目を見張るほど変わることができる。それがキリスト教の神髄だ』って」

 「それは神様の恩寵で、人間はいつでも出直せるんだという話かなと思うんだけれど。パパの人生にもまさに『出直し』を迫られた体験があったんだよね? 名人戦(棋界最古の栄誉あるタイトル)の最終局で、忘れもしない七月三一日、イグナチオの日の対局で、『出直しだ』って覚悟した瞬間があったわけでしょ?」

 「父  あっ。そうそう。そもそもね……キリスト教の洗礼を受けたのは三〇歳の頃、昭和四五年の前半に自分ではっきりと、『私の人生は行き詰まった』というのを悟って、前からキリスト教に関心はあったから勉強も少しはしていたのだけども、それでキリスト教の洗礼を受けることにしたのね。洗礼を受けることによって行き詰まりを突破することができる、というのが目的だったのね」

 「昭和四五年のクリスマスに洗礼を受けたのだけれども、その後ですね。……こう思ってたの。『確かにキリスト教の洗礼を受けたのだけども、今までどおり、一生懸命将棋のことを考えて戦えばいい』と。でも、洗礼受けてから二年経った時に、ある日、思いついたの。『あ、そうだ! やっぱり対局の前の日は祈るべきだ』と。洗礼受けたのは杉並区の下井草カトリック教会でしたけれども、教会が家から近かったこともあって、対局の前日に教会に行ってかれこれ三時間祈って、その翌日はとてもいい将棋が指せて、勝ったの。それから今度はですね、洗礼受けてからね、二年後に初めて吉祥寺カトリック教会で、昭和四七年、あ、昭和四八年か、一月一五日に……教会で初告解して……二日後に大阪で有吉道夫八段と戦って勝って、いい将棋が指せて名人挑戦者にその後なるのだけども、つまり、僕の経験で、教会で祈って素晴らしい将棋を指すことができた。告解をしたことによってすごい冴えた将棋を指すことができて、その、名人戦を戦った。僕の体験で『あ、そうか、要するに信者になってやっぱり祈ること、それから告解すること、ゆるしの秘跡に与ることが、いい』ってことを体験したの。だから……私は今回の対談の中で、やっぱりゆるしの秘跡がいかに効果があるか、ということも語りたい。……宗教というのは、傍から、側から見てるのではほとんどわからない。やっぱり教会の内側に入って実際にゆるしの秘跡に与るといった体験をするとね、『ああ!いい!』っていうことをね、ちょっとしゃべっておきたいのね」と。

【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】

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