【雑誌紹介】 福音派はなぜトランプを支持? 『BIBLE & LIFE 百万人の福音』5月号

 特集「アメリカ大統領選に見た“福音派”と日本の“福音派”」。クリスチャン新聞顧問の根田祥一が言う。「本誌の発行元・いのちのことば社も福音派を自認しています。創立の由来は北米にベースを置く福音派の宣教団体です。戦後日本の教会や伝道団体は似たような出自が多いでしょう。身近に知る米国人宣教師は大概キリストの香りを放つ尊敬すべき人々ですが、二〇一六年の大統領選ではトランプ氏に票を投じた人が多かったようです。なぜなのか? ある宣教師に尋ねてみると、こんな答えが返ってきました」

 「『トランプがクリスチャンとして道徳的に支持できる人でないことはわかっています。でも(民主党の候補者)ヒラリーを大統領にするわけにはいかない。トランプに投票することは本当に悩みましたが、ヒラリーを落選させるにはそれしか選択肢がなかったのです』」

 「同様の声は他の米国人クリスチャンからも聞きます。ヒラリーを大統領にするわけにはいかない――最大の理由はヒラリー・クリントン氏とその支持勢力が人工妊娠中絶容認(プロチョイス)だからです。それに対して福音派の多くは中絶反対(プロライフ)の立場。産むか産まないかは女性の自己決定権と考えるプロチョイス派と、胎児の命を奪う権利は誰にもないと考えるプロライフ派とは、アメリカの社会も教会も二分する重大な価値観の違いになっています」と。

 「もう一つ、特に上の世代の米国人福音派クリスチャンの発言から、公立学校での祈りを復活させたいという強い思いが伝わってくることがあります。かつて米国の公教育では教室で『主の祈り』をはじめとした聖書の神やイエス・キリストへの祈り、聖書のことばの唱和が当然のようにされていました。しかしイスラムやヒンドゥーなど他の宗教の住民が増えるにつれ、それら少数者の権利も擁護するべきだという世論が高まります。一九六〇年代以降、学校での祈祷を違憲とする判決が相次いで出され、子どもたちが学校教育の中で祈る慣習は廃れていきました。自分が子どもの頃に学校で祈るのが当たり前だった古い世代には、多様性を尊重する方向へと進んできたその後のアメリカ社会の姿を『世俗化』『リベラル化』によるキリスト教的伝統の衰退とみて、『古き良き時代』に戻ることを願う人たちもいるのです」

 「その他、同性愛や同性婚への反対、伝統的な家族観、社会主義への強い嫌悪感など、アメリカの福音派に根強い価値観は総じて、建国以来の『古き良きキリスト教的なアメリカ』の伝統を守ろうとする保守性に由来しています。トランプ氏は、度重なる女性蔑視発言などクリスチャンとはほど遠い言動にもかかわらず、『偉大なアメリカを再び!』というスローガンが福音派を含む保守層に刺さったことがうかがわれます」と。

【本体562円+税】
【いのちのことば社】

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