【雑誌紹介】 教会建築は街の景観に不可欠 『礼拝と音楽』190号

 特別寄稿「パンデミック下のフランスの教会活動――カトリック教会を中心に」猪股友枝(オルガニスト、サンロー音楽学校講師)。

 「パンデミックで生活に様々な制限が生じて心に潤いがなくなってきたのは世界中どこも同じでしょう。私も外出制限時はいつも自宅の周りでの移動しかできず、刺激が少ないと感じていましたが、街の中心地を少し出ればすぐにたどり着く川や森林の風景に癒されていました。自然の中に身を置くことの好きなフランス人は、パリ在住でも地方都市にセカンドハウスを持つ人も多く、何もできない外出制限期間をそこで過ごす人もいました」

 「日本でもそうだとは思いますが、大都市で息抜きをしたり、いつもと違った風景を求めたりするのは難しいと思います。しかも芸術の都とも言われるパリで、美術館や博物館が閉鎖されてしまった中、芸術愛好家の向かった先は教会だといいます。サンシュルピス教会のドラクロワの巨大なフレスコ画、サントゥスタッシュ教会のルーベンスから現代アートに至る作品、また絵画以外にも彫刻、ステンドグラス、オルガン(鳴っていなくとも!)など、パリの教会には見るに飽きない貴重な作品がごまんと所蔵されています。外出制限の中観光客のいない間にパリ市民は落ち着いて再びその価値を発見できているのです。ある意味贅沢な時間なのかもしれません」

 「現在パリには八五のカトリック教会と九つのプロテスタント教会があり、その内六八の教会が歴史的建造物の称号を持ち、三つの教会が優れた現代建築の称号を得ています。教会建築はフランスの街の景観に欠かせない存在で、政教分離(ライシテ)が定められていても、時にその街のシンボルでもあります」

 「この一五か月、世界中で生活の変化が求められている中、全ての分野に言えることですが、教会も、求める人が求めるようにまた機能できるようになることを願っています」

【1,500円(本体1,364円+税)】
【日本キリスト教団出版局】

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