【書評】 『お寺の掲示板 諸法無我』 江田智昭

 NHK『宗教の時間』『あさイチ』をはじめ『タモリ俱楽部』など民放各局でも広く紹介された「輝け!お寺の掲示板大賞」が、再び書籍になった。お寺の門前で繰り広げられたアツい戦いの軌跡に、浄土真宗僧侶である著者の解説を加えてまとめたシリーズ第2弾。

 ドラマ『半沢直樹』にかけた「やられてもやり返さない仏教だ」や、『チコちゃんに叱られる!』の決め台詞を逆手に取った「ボーッと生きてもいいんだよ」、2019年の大賞を受賞した「衆生は不安よな。阿弥陀 動きます。」など、時事ネタもふんだんに盛り込んだ傑作が並ぶ。これもひとえに、日々アンテナを張り世の中に「刺さる」メッセージを紡ぎ出そうと奮闘する僧侶たちの努力の賜物だろう。

 「仏の顔は何度でも」は、慣用句として定着してしまった固定概念を本来の教えに基づいて覆す作品。「乗り越えられない壁はない」など、聖書に通じる言葉も散見される。「隣のレジは早い」に至っては、もはや宗教すら超えた普遍的な真理。いずれも考案したお坊さんと会って話がしてみたくなるほどに力がある。

 第1弾とあわせて、信者にしか理解できない説教題や聖書箇所を、ただ漫然と掲げ続ける教会の関係者こそ心して読むべし。

【書評】 『お寺の掲示板』 江田智昭

【1,100円(本体1,000円+税)】
【新潮社】978-4103528722

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