【雑誌紹介】 信仰は常時に必要なもの 『信徒の友』10月号

 特集「認知症と教会」。

 「父・長谷川和夫の今」と題して娘の南髙まり(日本基督教団銀座教会員)が父の信仰と生活について記す。

 「父の長谷川和夫は、認知症の専門医として医療や介護に関わり続けるかたらわら、20歳で受洗し、祈りの生活を送ってきました。私はこの10年、たびたび父の講演会や取材に黒子として付いていきました。その折に父が語ったことなどを紹介いたします」

 「認知症になっても、突然人が変わるわけではありません。人は尊厳を保ち、神の恵みをたたえる力を与えられていることを、父は認知症の方々から感じたようです。この時期の父はこうした認知症の方の思いを支えていくことが大切だと、強い使命感を持っていたと思います……その父が3年前、88歳で認知症の診断を受けました。心身の変調を自覚し始めたのはさらにその3年前、2015年ころだったようです」

 「診断を受けてからはそのことを公表してきました。予防を呼びかけてきた専門医でも認知症になるのだから誰でも認知症となる可能性があること、認知症の人への接し方を皆様に知っていただくことを自分の役割として、認知症の人の思いや希望を発信してきました」

 「認知症と診断されたときのことを、ショックではあったが、それを自然に受け入れる信仰を神さまが与えてくださり、守ってくださっているという感覚があったと、後に父は言っていました。もちろん記憶力や判断力の衰えに加え、高齢による体力や筋力の弱りがありますから、もどかしくなるとき、悲しく苦しい気持ちになるときはたくさんあると思います。それでも、ありのままを受け入れる力をいただいていると言います」

 「父が自分の状態をこのように受け入れていることに驚きますが、最近はこんなことも話してくれました。

 『認知症になってからの方が神さまが身近にいてくださっている感じがするよ。恵みの道を歩いているんだ。私たちが選んだのではなく、神さまが僕を選んでくださったのだからね』」

 「最近、父の許しを得て古い日記を見せてもらう機会がありました。……2000年の日記の最後にはこうありました。『信仰は非常のためでなく、常時に必要なもの。神頼み、病気、災難でなく、日常の普通の生活に必要なんだ』。

 確かにそうです。20歳のときから一心に歩いてきた信仰の道が、今に続いていて、父の今の日常を支えています」

【600円(本体545円+税)】
【日本キリスト教団出版局】

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