【雑誌紹介】 その時、そこにいる 『信徒の友』2月号

 特集「チャプレンって何ですか」。

 「アメリカでの経験から」吉松純(金城学院大学教授)。「アメリカではチャプレンは学校や病院だけでなく、警察署、消防署、軍隊、沿岸警備隊、議会などさまざまな組織、施設にいる身近な存在です。……チャプレンは大きく言って2つに分類されます。1つは、上述の警察署や議会などのチャプレンです。キリスト教系、公立私立にかかわらず、多くの施設、機関、大学で、入所式、入学式、卒業式などの祝祷や礼拝司式を行い、そこに関わる人々の相談を聞き、心のケアに携わります」

 「アメリカには信徒のチャプレンもいますが、緊急時には洗礼を授けることもあるため、通常は牧師や神父が務めます。軍隊など大きな組織はフルタイム。小さな町の警察署や消防署は近隣の牧師や神父、ユダヤ教徒の多い町ではラビなどがボランティアで務めます」

 「臨床牧会訓練を4単位修了すると、アメリカ・チャプレン協会など国や州から認定された団体によってチャプレンの資格が与えられるのです」

 「私は2単位取得したところで大学院に専念するため、断念しましたが、臨床牧会訓練は牧師としてのその後の伝道、牧会に実に役立っています。とはいえ、臨床牧会訓練は伝道の訓練を目的としていません。病院でのチャプレンによる直接的伝道は禁じられています。患者の中にはキリスト教徒だけでなくユダヤ教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒、無神論者などさまざまな人たちがいるからです」

 「また、チャプレンは『心のケアをする聴き役』に徹さねばなりません。カウンセラーも聴き役に徹するのが原則ですが、チャプレンとカウンセラーは違います。精神科医とも違います」

 「カウンセラーも精神科医も、回復に向けて治療をします。医師は投薬治療もします。カウンセラーは、相談者本人が何かを見いだしたり、心の状況が改善することを目指してセッションを重ねます」

 「病院のチャプレンにはそれがありません。今日出会った人が、明日は退院しているかもしれないし、召されているかもしれない。一期一会です。老人ホームなどの施設のチャプレンは、何度も施設利用者と会いますが、やはりそれは治療行為ではなく、霊的な満たしや慰めの行為です。チャプレンの役目はその時、そこにいることです」

【600円(本体545円+税)】
【日本キリスト教団出版局】

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