【書評】 『大学の祈り 見えないものに目を注ぎ』 青山学院大学宗教主任会 編著 

 毎年、箱根駅伝で目覚ましい活躍を見せる青山学院大学駅伝チーム。その強さの秘訣は祈りにあった?

 入学式、卒業式をはじめ、同大学で折々にささげられた実際の祈りを収録。駅伝の壮行会、祝勝会での祈りには、「決して必勝祈願の祈りはしません」「他大学の選手のためにも祈ります」との解説が付されている。

 さらに、さまざまなシチュエーションに合わせた祈りが網羅されており、「実用的すぎる」とネットで話題になった。

 例えば「パソコンの調子が悪い」時の祈りは、「パソコンというものはなぜ、大切な時にかぎって、動かなくなるのでしょうか。私の大切なデータが無事に保存されていますように。……私がこの機械に怒りをぶつけることなく、平静な心を保つことができますように」。

 「失恋」した時の祈りは、「つらくて、苦しくて立ち上がれません。……あの人を恨むのではなく、幸せに生きていけますようにと祈らせてください。そして、どうぞ私に再び人を愛する力を与えてください。新しい良い出会いを与えてください。立ち上がり、前に進む力を与えてください」。切なくて泣けてくる。

 就職活動における不採用通知が、文末に「今後のご健闘をお祈りいたします」といった文章が添えられることから、「お祈りメール」などと呼ばれているが、こちらには正真正銘の「就職活動の途上で」祈る「お祈り」も収録。「神さま、……あなたは私の長所も短所もすべて知っておられます。私はあなたにすべてをお委ねします。私が進むべき道を示してください。示された暁には、そこにじっくりと腰を据え仕事に勤しみ励むことができますように」

 そして今こそ一緒に声を合わせたい「平和の祈り」。「戦争によって親しい家族を奪われ、友を失った人々の傍らにあなたが共にいてください。そして、憎しみの連鎖ではなく、互いにかけがえのない命を尊重し合えますように」

 日ごろ、教会、家庭、学校でささげる祈りの指針になると同時に、教会が大事にしてきた祈りの本質を、鮮やかに照らし出す本になっている。

【1,320円(本体1,200円+税)】
【日本キリスト教団出版局】978-4818411029

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