【雑誌紹介】 必要な人に「恩恵」は届いているか 『神学ダイジェスト』2022年夏号

 上智大学神学会が発行するカトリックの神学雑誌。その特集「恩恵論」の巻頭言「『恩恵論』に寄せて」で、ルーテル学院大学学長の石居基夫が「救いとは何か。また、救いは誰のものか」と問う。「救いが必要とされているのはどこか。誰に救いが必要なのか」と。

 「貧困、差別、暴力、災害、戦争、病気や死などなど。たちまちにして、私たちはこの世界のただ中に立ちすくむ。困難の中に生きる人たちのことが思い浮かぶ。痛みと苦しみ、悲しみと絶望。救いは、確かに切望されている。私たちは、それを知っているのだ」

 「私たちがこの救いを求める事態について深く思い巡らしていく時、いくつもの重層的な課題があることを知る。……私たちは何ものかに苦しめられているというばかりではなく、何ものかを苦しみに追いやるものでさえある。こうした問題や課題の全世界的な重層性と複雑性に気がついていくと、救いが必要とされるこの現実から遠い者など一人としてなく、むしろ自らがその中に身を沈め、もがいているだけの存在だと知られてくるだろう」

 「キリスト教は、この私たちの現実に対して神の救いを約束し、また宣言してきた。……この神の救いは、ただ信仰を通して受け取られるが、その信仰も含めて『神の恵み』によってのみ与えられる。すなわち『恩恵』。それは救いをもたらす神の働きである。……この『恩恵』とは一体どのように私たちに働いているのだろうか。見えない救いでは、現実の命は守れない。神義論を超えて、神の存在も恩恵も、もはや『ない』のだと叫ばれる。だから、世界と教会、理性と神学、現在と終末、自然と超自然の、この一見よそよそしい関係の中で、私たちの生が確かに神の恩恵に生かされることを、この『恩恵論』に確認したいのだ」

 「教会を一歩出たところでの私たちの意識は、『恵まれている人』と『救いが必要な人』とを明らかに相反するカテゴリーと見ている。恩恵はそれを本当に必要としている人には届いていないのではないか。それは、神の問題なのか、私たちの問題なのか。『恩恵論』において神学が何を辿るべきなのか、そのことを確認したいと問題意識を記させていただいた」

【640円(本体582円+税)】
【上智大学神学会】

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