【書籍紹介】 『横浜海岸教会150年史』 日本キリスト教会横浜海岸教会

本格的な教会史

 今年の7月15日『横浜海岸教会150年史』が出版された。2011年から刊行に向けた作業が行われてきた。横浜海岸教会は、1872年3月10日に11人の信徒によって創立された日本で最も古いプロテスタント教会である。当教会では、小冊子『海岸教会創立五十年略史』と『横浜海岸教会百年の歩み』を持っている。創立150周年にあたり、本格的な教会史を発行することになった。この書は、丹念に検証された通史篇と資料編からなる。資料編ではどのような人たちが信仰生活を送ってきたかという視点から受洗・転入者一覧を作成、規則、教情、長老・執事一覧、年表など600頁になる書を出版できたことは幸いなことであった。

 横浜海岸教会は、関東大震災では教会堂が倒壊したが、横浜空襲では損害を受けなかったので、内部資料が比較的残っていたのは教会史を編纂する上でたいへん助かった。改革長老教会では大会、中会、小会の会議を開くたびに議事録を作成している。それらの議事録を閲覧した。また、教会総会記録、週報など多くの教会が所蔵する資料が使われた。その他、戦前の資料では、この教会が所属した機関紙ともいうべき『福音新報』、さらに『基督教新聞』などの資料を使って編纂できたことは何よりであった。

教会史づくりの考え方

 教会史は神の民の歴史を叙述するもので、救済史を志向するものである。教会は罪人の集まりであり、十字架と復活を信ずる群れである。教会史は、過去の教会の歩みを顧みると同時にこれからの教会がどのような方向を目指すべきかを明らかにするものである。教会史編纂で、話題になったものの一つに時代区分があった。日本社会の特徴を捉えての時代区分、元号に基づく区分、何々牧師時代などの区分が考えられる。何々牧師時代という時代の切り方は、一見牧師によって区分するので分かりやすい部分がある。しかし、改革長老教会の教会形成から考えると、海岸教会は牧師が中心となって教会の運営をしているわけではない。小会という長老会の会議で物事を決める教会にとっては、この教会がどのような組織に加入していたかということを考慮して区分した方がよいと考えた。それは、前史から始まって、日本基督教会時代、日本基督一致教会、日本基督教会という時代区分である。      

 「150年史」の作成には、古田和彦委員長の下で編纂委員会を行い10人の執筆者が関わり、教会員の祈りに支えられてでき上がった。私はこの教会の会員ではないが、どのような教会史を編纂することが可能かという会で、話をさせていただいた関係からアドバイザーとして執筆に関わった。また編集・出版のサポートとして合同会社ヘウレーカの森本直樹氏が加わった。この書が神の栄光を顕すものとして役立てば、これ以上の喜びはない。

(岡部一興=弘前学院大学客員教授)

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