【雑誌紹介】 孤立しては教会たり得ず 『福音と世界』12月号

 関西学院大学神学部教授の芦名定道が責任編集を務める「特集=地方・地域から見た日本の現在」。日本基督教団九州教区総会議長の日下部遣志(川内教会主任担任教師)が「地方のキリスト教会・教区の現状と課題」と題して九州教区の現状を報告している。

 「地方教会の集まりが九州教区を形成している。七県一〇地区に一二六教会・伝道所がある。……コロナ前の統計によれば……会計面では、経常収入合計が三〇〇万円以下の教会が四五教会であり、全体の三分の一が一人分の牧師謝儀を負担することさえ厳しい中での教会運営となっているのが現実である」

 「五〇年前は、九州教区の現住陪餐会員数は約六七〇〇名であった。二五年後の一九九五年には、約五七〇〇名であり、二五年間で約一〇〇〇名の減少であった。そして昨年度の統計では、三七〇〇名余りである。後半の二五年間で約二〇〇〇名が減少した。減少率は格段に上がっていることが分かる」

 「今年度は、代務二一教会、兼務七教会である。年によって若干の変動はあるにせよ、代務兼務合わせて約三〇教会が『無牧』であり、四教会に一つの割合で、専任牧師の不在状態が続いている。ちなみに二五年前では、代務は八教会、兼務五教会であった。この二五年で、代務者を置かざるをえない教会がいかに増加したかがよく分かる。私自身この一〇年で四〇の教会の代務者を務めた」

 「九州教区が長年大事にしてきたことの一つが、地区の交わりである。教区は広域のため、頻繁に教区の集会に集まることはできない。だから各地区が主体となって活動がなされていく。……点在する小規模教会が、連携し協力し合わなければ、小さな教会一つでは何もできないし、孤立を深めるばかりである」

 「九州教区は、互いに助け合いつつ、共に宣教わざの業を担うための互助制度を整えてきた。……課題の一つは参加率である。受給教会も含め、全教会・教師の参加を願っているが、現状そうではない。昨年度、一二六教会中、二〇教会が互助献金に参与いただけなかった。教師互助献金に至っては、約五〇%の参加率である」

 「地域で孤立しては教会は教会たり得ない。宣教の働きも同様である。宣教の業は一つの教会だけで成り立つものではない。他の教会とつながり、交わって、励まし合いながら、共に宣教を担おうとすることが大事なことではないか。その証しの業が互助である」

【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】

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