【雑誌紹介】 憲法とキリスト教の共通点 『福音宣教』1月号

 今号から始まった巻頭特別企画「憲法とキリスト教」。久保文彦(上智大学・基盤教育センター講師)、森島豊(青山学院大学教授・宗教主任)、南野森=しげる=(九州大学法学部教授)による座談会の第1回テーマは「なぜ法学は宗教思想から距離を置くのか」。

 座談会の発案者である久保が、「人権思想とキリスト教を切り離してそれぞれを別領域の事柄として学び考えることが、日本の一般社会と日本の教会の通例になっている現実がありますが、そこには問題があるのではないか」と疑問を投げかける。久保が上智大学で「キリスト教と人権」という講義を担当する過程で明確になってきたことがあるという。「それは日本国憲法とキリスト教の密接な関係です。両者のつながりがどこにあるのかを考えてきたのですが、日本国憲法とキリスト教にはそれぞれが『人間の尊厳』という事柄に深く関わっているという共通点があります」

 「キリスト教信仰の原点とも言えるイエスの運動と日本国憲法には、それぞれが人間の尊厳という価値を追求し、守ろうとしているという意味で、本質的な共通点があると考えられます。しかし大学生との交流のなかから次第に分かってきたのは、日本国憲法とキリスト教の本質的な共通点が、日本の社会では意識されていないのではないかということです」

 「日本国憲法が日本国民に与えている課題、すなわち人間の尊厳が守られ、人権が充実する社会を形成するという課題は、キリスト教とは無関係ではないと私は考えるようになりました。この意味において、日本国憲法は日本のキリスト教会にとって、『聖書』と並ぶ重要な文書であると言えます。この点について、日本のキリスト教会はどこまで自覚的でしょうか」

 この問い掛けに、『人権思想とキリスト教』の著書である森島も共感を示し、日本国憲法へのキリスト教の影響という視点が法学の現場では見えてこないと指摘する。憲法学が専門の法学者である南野は、「なぜ人権が大切なのか」「なぜ個人として尊重されるのか」という根源的な部分にまで踏み込まないことが憲法学の一般的な潮流だと説明する。

【660円(本体600円+税)】
【オリエンス宗教研究所】

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