【書評】 『仏教の冷たさキリスト教の危うさ』 ネルケ 無方 

ドイツ人禅僧が勧める日本式の宗教「アク抜き」術

 牧師を祖父に持つプロテスタント信徒の家庭に生まれながら、16歳で座禅に出合い、留学生として来日して禅僧となったドイツ人の著者。その稀有な生い立ちから、広く海外の宗教事情もふまえつつ展開される異色の比較宗教学。

 「現状をありのまま受け入れ、打開策を考えない多くの仏教徒の怠慢に起因している」仏教の「冷たさ」と、「愛を叫びながら、結局は憎しみ合う一神教徒の謙虚のなさの表れ」としての(欧米型)キリスト教の「危うさ」との対比は、双方の内実をよく知る著者ならではの視点。

 日本式の「ライトなキリスト教」を、柔軟で平和的な「進化」「熟成」したキリスト教として評価し、「日本人がキリスト教を学ぶことで“予防接種”をして、宗教のアク抜きをしたキリスト教をもう一度欧米に輸出する」ことを奨励する。

 対話の糸口として必読。

【本体800円+税】
【ベストセラーズ】978-4-58412-509-0

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