【書評】 『説教への道』 加藤 常昭

60年にわたり講壇から「説教」を紡いできたベテラン牧師による秘伝の書

 

 牧会者としての60年におよぶ経験と知識を、次世代を担う牧師たちに余すことなく伝えた書。著者は本書の目的を、読者が読了時に確信をもって説教ができるようになっていることだと語る。
 第一章「説教の原点」では、なぜ説教を志すのかという直球の問い。入口が正しくわきまえられていないと道は歪むと著者は警告する。第三章「どのような説教を目指しますか」ではコリントの信徒への手紙I(15章1節)を例にとり、パウロが「いつも説教している言葉の大切なところ」は自分も受継いだものだと述べていることを紹介し、説教は教会が受継いでいるメッセージであると説く。
 また「パウロが『神の恵みによって今日のわたしがあるのです』と言ったように、イエスに起こった恵みの出来事はパウロも巻き込んだ。同じく牧会者の語る説教も、自分を巻き込んでくれた今日の神の恵みを語る言葉である」という説明には、召命された人たちの真摯な姿を思う。
 ほか、説教原稿の作成方法や主題説教の語り方、説教批判の大切さなどを丁寧に解説。最終章七章「説教への道のモデル」では実際の説教をテキストにし釈義する。
 「福音を告げ知らせることこそ、説教者の課題です。そしてその言葉が聴き手の救いになるのです」。60年の牧会の軌跡は福音となって、本書を開く新たな牧会者たちに届くだろう。

【本体1,600円+税】
【日本キリスト教団出版局】978-4-81840-940-8

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