【書評】 『はじめての中国キリスト教史』 倉田 明子 他

己を知るために他者を知る 中国のキリスト教史を歴史的事件・人物中心に

 

 「『他者』のあり方を如何に認識・評価して、どのような関係性を取り結んできたのかという視点からの考察が不可欠」と序文にあるように、日本の教会の歩みを捉え直す上で、中国のキリスト教を知ることは不可欠である。

 戦中から現在までの中国キリスト教史を概観した入門書は他に類書がなく、日中関係史に関心を寄せる読者には貴重な情報源になるだろう。とりわけ最新の研究成果を反映し、日本の教会との関わりを詳述した第6章~第8章は必読。

 学術的論文集になることを避け、歴史的な事件や人物を中心に、トピック別のコラムも織り交ぜながら中国キリスト教の諸側面を平易な文体で提示する。

 日中関係に影を落とすナショナリズムの勃興と「嫌中」「嫌韓」の台頭に向き合い、同じ歴史の轍を踏まないための足腰づくりには欠かせない1冊。

 

【本体2,000円+税】
【かんよう出版】978-4-90690-275-0

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