【書評】 『宗教改革と現代の信仰』 倉松 功

 日本ルター学会の元理事長が、ルターの行ったさまざまな働きについてまとめた書。著者は冒頭で、ルターが成したことは教会の改革で、宗教よりもはるかに多くのことを論じていると記す。教会=社会であったこの時代、ルターの働きは「宗教改革」というよりも「社会改革」だったのだ。

 ルター神学の要「聖書のみ、恵みのみ、信仰のみ」や「万人祭司」について論じているのはもちろん、子どもの教育、人権思想、ルター神学の継承者と言われるボン・ヘッファーについて、またルターと対立的立場にあったとされる、農民戦争と関係したミュンツァーとの神学思想の対比などにも章が割かれている。

 500年前の欧州の出来事ではなく、現代社会の礎として宗教改革の精神が受継がれていることを再確認できる。

【本体1,500円+税】
【日本キリスト教団出版局】9784818409675

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