【書評】 『『ハイジ』の生まれた世界』 森田 安一

 『ハイジ』原作者のヨハンナ・シュピーリを中心に、彼女の祖父の代までさかのぼり、血族の活躍と時代の出来事に詳しく触れた「近代スイス史」。多くの人が知るアニメ版『ア

ルプスの少女ハイジ』は、アルプスの自然崇拝、動物愛護を中心に物語が構成されている。また英訳からの重訳版は、ドイツ語原著からの完訳とは異なるという。原著は2部構成になっており、「キリスト教的罪」が主要テーマとの解説に今さらながら驚く。

 原著『ハイジ』には敬虔主義的賛美歌が使用され、物語の柱になっているが、ヨハンナの祖父ディートヘルムは牧師、母メタは広く名の知れた詩人で『ルターの国の賛美歌』などを出版していたという家族構成がその背景にある。

 彼らの生きた19世紀スイスは、カトリックとプロテスタントの対立による分離同盟戦争も勃発、激動の時代だったことがうかがえる。

【本体2,300円+税】
【教文館】9784764261303

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