【書評】 『「神」の発見』 小塩 節

 現在スウェーデンに国宝として保存展示されている『銀文字聖書』。朱色に染めた羊皮紙に銀泥と金泥でゴート文字の福音書を記した写本だ。西暦520年ごろに制作され、まとまった形では世界で唯一のゴート語文献だという。この写本が造られる140年ほど前の4世紀後半、ゴート人のキリスト教司教ウルフィラが旧・新約聖書をギリシア語からゴート語に翻訳した。

 ゲルマン諸族は文字を持っていなかったが、ウルフィラは自らゴート文字を創案。多神教かつ「主神」の概念がないゴート族にあって、ウルフィラは聖書の「神」(ギリシア語の「テオス」)をゲルマンの古語「グス」と翻訳した。これが後に英語の「ゴッド」となる。

 現在は絶版になっている『銀文字聖書の謎』(新潮選書、2008年)を初学者向けに改稿した本書。ウルフィラの知られざる功績を描き出す。

【本体1,500円+税】
【教文館】9784764261310

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