小池知事に朝鮮人犠牲者追悼文の再開要請 表現者ら都庁で会見 早稲田奉仕園で追悼企画も 2026年8月27日

1923年の関東大震災後に殺害された朝鮮人犠牲者を追悼する式典への追悼文を、小池百合子東京都知事が10年連続で送らない意向を示したことを受け、アーティストや詩人らが8月26日、東京都庁で記者会見し、追悼文の送付再開を要請した。
会見を開いたのは、映画上映などを通じて差別や歴史認識を問い直す活動を行う「CINEMA DoDuk」。アーティストの飯山由貴さん、ラッパー・詩人のFUNIさん、詩人・作家の眞鍋せいらさんらが登壇した。主催者は追悼文の再開とともに、東京都人権部が2022年、飯山さんの映像作品《In-Mates》の上映を認めなかったことなどを挙げ、「公権力による歴史認識への不当介入・検閲」に抗議した。
関東大震災では、「朝鮮人が放火する」などの流言が広がり、朝鮮人らが自警団や軍隊、警察の一部によって殺傷された。中央防災会議の専門調査会報告書も、流言を背景に住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が起きたことを記録している。

都立横網町公園(東京都墨田区)には1973年、震災50周年を記念して朝鮮人犠牲者追悼碑が建立され、翌年から毎年9月1日に追悼式典が開かれてきた。歴代都知事は追悼文を寄せ、小池知事も就任した16年には送付したが、17年以降は取りやめている。
小池知事は今年8月7日の定例会見でも、春と秋に東京都慰霊堂で営まれる慰霊大法要で、関東大震災などの犠牲者を含む「全ての方々」を慰霊しているとの従来の説明を繰り返し、個別の追悼文を送らない姿勢を示した。
飯山さんの《In-Mates》は、戦前の東京の精神科病院に入院していた朝鮮人患者の診療記録をもとに、FUNIさんのパフォーマンスなどを通して在日コリアンの歴史や葛藤を描いた映像作品。22年、東京都人権プラザでの企画展に関連して上映とトークが予定されていたが、東京都総務局人権部が開催を認めず、飯山さんらが「検閲」だとして抗議してきた。
関東大震災翌年の1924年9月13日には、現在の早稲田奉仕園スコットホール(東京都新宿区)で朝鮮人、中国人虐殺犠牲者の追悼集会が開かれたが、警察隊が押し寄せ、中止命令によって解散させられた。早稲田奉仕園にもこの出来事の記録が残り、2014年には同じ日に同じ会場で「追悼弾圧90周年記念集会」が開かれている。
震災から103年となる9月1日には、CINEMA DoDukが同スコットホールで「虐殺のあともあの時虐殺を見た人間であるということ」を開催。眞鍋さんによる短編劇『眠られぬ九月の夜よ』の上演、《In-Mates》やドキュメンタリー映画『FUNI』の上映、飯山さん、FUNIさんらによるトークを予定している。主催者は、表現を通して過去の犠牲者を追悼するとともに、「誰も殺さず、殺されない社会」を考える場にしたいとしている。

デザイン=三立 甲
写真=宮本七生















