「変わらない福音を変わり続ける世界に」 PBA75周年で記念集会 2026年8月28日

一般財団法人太平洋放送協会(PBA)が創立75周年を迎え、「放送伝道75周年記念集会」が8月26日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で開かれた。テーマは「変わらない福音を変わり続けるこの世界に」。午前の記念集会、午後の「Next Generation」プログラム、夜の「What The Pastors!!!」(WTP)の公開収録を通じ、75年の歩みを振り返るとともに、メディア環境が大きく変わる中、次の世代へどう福音を届けていくかを考えた。
PBAは1951年創立。翌52年にラジオ番組「世の光」、1989年にはテレビ番組「ライフ・ライン」の放送を開始し、日本の放送伝道を担ってきた。現在、「世の光」は全国22局、「ライフ・ライン」は全国13局で放送され、インターネット番組も制作。全国各地の放送伝道協力会と地域教会が働きを支える。
冒頭、矢木良雄理事長=写真上=は75周年について、「皆様一人でも欠けたら、この75年というのはあり得なかった」と感謝。「おめでとうございますと言われるより、『一緒に本当に75年やってきたよね』と互いに励まし、声を掛け合いたい」と述べた。
文化放送、日本聖書協会、日本福音同盟(JEA)、CBNアジアなど関係団体から祝辞が寄せられた。JEA総主事の神戸博央氏は、ラジオ、テレビからインターネット、スマートフォン、SNS、動画、ポッドキャストへと情報環境が変化したことに触れ、これは「放送伝道の時代が終わりつつある」のではなく、むしろ福音を届ける道が「かつてないほど増えている」時代だと指摘。「大切なのはメディアそのものではなく、そのメディアを通して何を届けるのか」と語った。
「放送伝道と家族の救い」と題して証しした伊東勝哉氏(信愛キリスト教会牧師)の母は、かつて身近な人が旧統一協会に入信した経験から、キリスト教全般に偏見を抱いていたという。だが通勤前の早朝、ラジオから流れてきた「世の光」で服部明氏のメッセージを聞き、「教会に行ってみよう」と思い立った。近くで開拓伝道していた教会を訪ね、キリスト教信仰へ導かれた。
伊東氏は、神社や寺が身近にあり、キリスト教への心理的な壁も大きかった母の故郷を振り返りつつ、「福音を届けるには大きなバリアが張っているような土地に、ラジオの電波は届いていた」と強調。長期療養のため教会へ通うことが困難な人が「世の光」を毎朝聞き続けている事例も紹介し、放送が教会の側から容易には入っていけない場所へ届き、そこで新たなつながりを生み出していることを証しした。
メッセージを担ったPBA名誉会長の村上宣道氏は、ルカによる福音書5章の、イエスがペトロに命じた「深みに漕ぎ出し、網を下ろして魚をとりなさい」との箇所から説教。先行きの見通しが決して明るいとは言えない時代だからこそ、失意の中にいた弟子たちに語られた「深みに漕ぎ出せ」との言葉は、75周年を迎えたPBAへの呼びかけでもあると指摘した。
また、デジタルメディアが持つ双方向性やAIにも触れ、「社会の闇や人の心の深い闇の中に、今までの経験や知識を超えた、今までやったことのない方法を探して網を生かすことが求められているのではないか」と問いかけた。
午後の「Next Generation」では、放送界の専門家が「今の時代、どのようにメディアを活用したら良いか」をテーマに講演。近藤愛哉氏(保守バプテスト同盟盛岡聖書バプテスト教会牧師)をファシリテーターに、村田光希氏(日本福音キリスト教会連合帯広栄光キリスト教会伝道師)、佐藤宣愛氏(日本同盟基督教団盛岡みなみ教会牧師)、井上智彦氏(同盟福音基督教会グレースチャペル武豊牧師)、中村恵久氏(CALM代表)が、若い世代への発信やメディア宣教について意見を交わした。
そこで語られたのは、あらかじめ完成されたシナリオをなぞる以上に、その場にいる人同士のやり取りから生まれるリアリティの重要性だった。

このテーマは、夜の「WTP!!! Special Night」へ引き継がれた。パーソナリティーの大嶋重徳氏(日本福音自由教会協議会鳩ヶ谷福音自由教会牧師)のもと、朝岡勝氏(日本同盟基督教団多磨教会牧師)、豊田信行氏(単立ニューライフキリスト教会牧師)、山口武春氏(単立ニューホープ横浜牧師)、大嶋裕香氏(鳩ヶ谷福音自由教会)がゲスト出演。中山有太氏(福音の群シャインチャーチ牧師)が賛美をリードした。
朝岡氏は、自身が弱っていた時期にラジオの「声」に支えられた経験を振り返り、自分に向かって話しているわけではない言葉が、あたかも自分だけに語りかけられているように聞こえる「人の声の持つ力」について語った。大嶋氏も、映像や動画が重視される時代だからこそ、キリスト教が伝えてきた中心には「神の言葉である聖書」があると応じた。
山口氏は「福音は変わらないし、伝える内容、メッセージは変わらないけど、伝え方、プレゼンテーションの仕方は大いに変えていい」と話し、自身が若い世代や若い家族を意識して教会形成を続けてきた経験を語った。
豊田氏が朝岡氏の後継としてWTPに初出演したのは2020年。この6年間を振り返り、当初は「自分の話など本当に聞いてもらえるのか」と思っていたと明かし、ある時点で「賜物を預けるから好きなようにして」と大嶋氏に委ねるようになった経緯を説明した。
また、洗礼を受ける際、腹痛を理由に浸礼ではなく滴礼に変更されたという逸話も交え、既存の教会文化や用語を使わない理由として、自身が「業界にどっぷり浸かっていない」ことを挙げた。さまざまな状況で苦しむ人に対し、聖書の言葉を安易に当てはめることには今も抗いたいと語る豊田氏に、大嶋氏はその言葉がリスナーの抱えてきた「モヤモヤした違和感」を言語化しているのではないかと応じた。
公開収録の模様は、今後「WTP」でも放送される予定。















