【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 「わたしの民がたくさんいる」 近藤真史 2025年6月11日

 こちらのシリーズに寄稿させていただき、今回が4回目ですが、私が牧会をしている地域について、きちんとお話ししていませんでした。

 おゆみ野キリスト教会は千葉県千葉市緑区内に三つのチャペルを所有し、それぞれに担当牧師を置いています。私が担当しているおゆみ野チャペルが置かれている街は、2022年時点での総人口が4万8千人ほど。車があれば複数のショッピングモールやスーパーを回ることもできるいわゆる地方都市で、子どもの姿を目にすることも少なくはない、どちらかといえば活気のあるような街です。

 こんなふうに言えば、恵まれた環境に置かれていると思われるかもしれませんが、たいへんなのはお父さん世代です。あまり狭くない住環境と緑豊かな公園や遊歩道のある街で家族が過ごせるようにと、この街に住まいを構えたお父さんたちが都内で働こうと思えば、1.5〜2時間ほど、毎朝電車に揺られることになります。恐らく、緑区は都内通勤圏内ギリギリに位置します。都内で働く人と千葉県内で働く人の割合もだいたい半々。大学進学時に実家を出るかどうかの割合もだいたい半々。そんな街に、おゆみ野チャペルは置かれています。

 おゆみ野チャペルは、大人英会話や、キッズEnglish、ゴスペルクワイア、未就園児とお母さんの会などで、未信者の方も恐らく週に50人ほどは出入りするような教会です。そんなチャペルでの牧会を任されて今年で5年目。まだ、成人の方に洗礼を授ける機会は与えられていません。教会にこれだけの人が与えられ、英会話やゴスペルでは聖書のメッセージなども語られますから、イエスにあるコミュニティがすでに形作られているとも言えます。それは本当に感謝なことで、地域から教会が信頼されることにもつながっているでしょう。しかし、キリスト教の背景のない中で育ち、人生を歩まれてきた方が、「主イエスに人生を預けたい!」「この福音に生きていきたい!」と願い、決断することが簡単なことではないのだとも実感しています。

 先日、一緒に聖書を読んだ未信者の方は、お子さんの病気のことで長く苦労してこられた方でした。ご自分がチャペルに出入りするようになった時から今に至るまで、事あるごとに私ではない牧師とある1人の信徒に話を聞いてもらい、祈ってもらってきたと分かち合ってくださいました。一つもアドバイスせずに、話に耳を傾け、最後に祈ってくださる、それが本当に助けになった、と。

 別のあるご婦人は、「もう死にたいです」とチャペルにお電話くださり、そこからお話をうかがいつつの聖書の学びが始まりました。不幸な生い立ちとその後のご苦労から、救い主イエスに希望を置きたくても置ききれない、そんな思いを何度も分かち合ってくださいました。イエスを心にお迎えした後も、具体的に生活状況が改善しないことに、私も共に、イエスの前に嘆くようにして、歩んでいます。

 そのような方が、洗礼を受け、神の家族のメンバーとなり、キリストのからだに目に見る形で連なってくださるのか、イエスに希望と信頼を置きつつも、そのような形は取らずに歩み続けられるか、私には分かりません。後者の歩みを送られた方を、イエスが最終的にどのように扱われるのかも分かりません。「ご自分の永遠の行き先を真剣に考えてください」のように迫るべきかも、分かりません。分かっているのは、おゆみ野の街には、主イエスの民がたくさんおられる、ということです。

 「この町には、わたしの民がたくさんいるのだから」(使徒の働き18章10節=新改訳2017)

こんどう・まさし 1985年東京生まれ。クリスチャン家庭で育つも中学から教会生活をやめ、18歳でイエス様に戻る。Worship!JAPAN(旧ゴスペル音楽院)卒業。東京基督教大学修士課程終了。在学中に、千葉県千葉市にあるおゆみ野キリスト教会(日本長老教会)のメンバーとなり、夫婦関係の修復を得る。2021年より同教会牧師。趣味はベース演奏とポッドキャスト、サ活。

【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 誰かの隣人となるために 近藤真史 2025年6月1日

Image by Hans from Pixabay

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