テックの現場で信仰をどう生きるか 若手クリエイターら100人集う 2026年5月1日

テクノロジーとクリエイティブ分野に携わるクリスチャンを主な対象としたカンファレンス「CROSSINGS 2026」が4月25日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で開催された(CALM、FaithTech主催、Magnify Tokyo協力)。エンジニアやデザイナー、映像制作者、クリエイターら、オンラインを含め約100人が参加し、急速に変化する社会の中で、信仰をいかに仕事に結びつけるかを多角的に考えた。
このイベントは、「完成された答えを受け取るのではなく、問いを持ち寄り、他者の視点に耳を傾けながら、共に考えていく場」を掲げる。信仰と仕事を切り離してきたことへの違和感を出発点に、それぞれの現場からの実践や葛藤を共有し、対話を通して理解を深めるという試み。
当日はテーマごとに複数のセッションが設けられた。GoogleのAI集団「Google DeepMind」でシニア・リサーチエンジニアを務めるフアン・ナバロ氏は、AGI(汎用人工知能)や自律型AIの進展を背景に、AIが単なる補助ツールから意思決定主体へと変化しつつある現状を指摘。金融機関の社員役を与えられたAIが、利益追求の圧力のもとで不正行為と隠蔽に至った事例を紹介し、「AIは人間のデータで訓練されている以上、人間の歪みも再現する」と警鐘を鳴らした。
また、開発現場ではエンジニアの役割がコードを書く作業から、AIを指揮するディレクションへと急速に移行しているとし、創作や労働の価値が成果主義に回収される危険性にも言及し、信仰を持ちながら最先端の技術開発に携わる上での実践的指針を提示した。
昨年リリースした「ダレカレ」で、国内外の賞を多数受賞しているゲームクリエイターのyona氏は、自身の半生を振り返りながら、ゲームと信仰の関係を語った。家族の困難や孤独の中でオンラインゲームに依存した経験を持つ一方、神との関係の回復を経て、ゲームを「人の心に残るメディア」として再定義したという。
商業ゲーム開発の現場では、ガチャ課金などの仕組みに葛藤を覚え、「プレイヤーを縛るのではなく、現実へ送り出す作品」を志向。その後、制作したゲームで評価を受けたが、成功の過程で「神のために何かを生み出さなければ」という強迫観念にも向き合うことになった。「愛は生産性を求めるものではなく、人を自由にするものだった」との気づきを転機に、現在は神から与えられた賜物を喜びのうちに用いる創作へと歩みを進めていると話した。
「ミニストリーとテクノロジー」と題したパネルディスカッションでは、出版、放送、ITといった異なる領域で働く実務者が登壇した。いのちのことば社の岡村みむね氏は、書店現場でしばしば投げかけられる「あなたは本当にクリスチャンですか?」という問いを紹介。顧客と同じ信仰を共有する場であるがゆえに、理想と現実のギャップが露呈しやすく、「自らの信仰のあり方が日々問われる」と語った。また、教会内で求められる商品と、未信者に届く表現との間にあるズレにも課題を見出した。
太平洋放送協会(PBA)の水野潤氏は、放送伝道の現場における「届ける側はクリスチャン、受け手はそうでない」という構造的ギャップを挙げ、「どのように福音を社会に開かれた形で伝えるか」というバランスの難しさを語った。
はこぶね便事務局での経験を共有した石井ゆうき氏は、日本の教会が抱える構造的問題として、牧師やスタッフへの過重な業務集中を指摘。事務処理やIT対応に追われ、本来注力すべき祈りや牧会に時間を割けない現状が、教会疲れや人材減少を招いていると分析し、「本来集中すべきことに集中できる環境整備」が急務であると訴えた。
CALM代表の中村恵久氏は、今後もさまざまな教派、職業の信徒に呼びかけ、継続して開催したいと意気込んでいる。














