キーウ・ペチェールシク大修道院で大規模火災 ウクライナ宗教者協議会が世界遺産への攻撃を非難 2026年6月16日

ウクライナ教会・宗教団体協議会(UCCRO)は6月15日、同日未明のロシアによる首都キーウへの大規模なミサイル・無人機攻撃で、ユネスコ世界遺産のキーウ・ペチェールシク大修道院が損傷したことを受け、声明を発表した。攻撃を「人類、キリスト教、そしてウクライナの精神的、歴史的、文化的遺産に対する新たな犯罪」と非難し、国際社会に対ロシア制裁の強化を、世界の諸教会や宗教団体に祈りと連帯の継続を求めた。
声明によると、大修道院内の生神女就寝大聖堂(ウスペンスキー大聖堂)の屋根で火災が発生し、約800平方メートルに及んだ。ロイター通信によると、屋根は激しく焼けたものの、建物の構造や壁は残り、聖所と身廊を隔てるイコノスタシスにも重大な損傷は確認されていない。貴重な聖遺物や宗教美術品の一部は避難させられたという。
同大修道院は11世紀に起源を持ち、東ヨーロッパにおけるキリスト教伝播の主要な拠点の一つとして発展した。現在も修道共同体が生活し、奉神礼と祈りが続けられている。聖ソフィア大聖堂や関連修道院群とともに1990年に世界遺産に登録され、ロシアによる侵攻で破壊の危険が高まったことから、2023年には「危機にさらされている世界遺産リスト」に加えられた。
正教会、カトリック、プロテスタント諸教会のほか、ユダヤ教、イスラム教などで構成されるUCCROは、ロシアによる全面侵攻の開始以降、ウクライナ国内でキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の宗教施設約800棟が、完全または部分的に破壊、損傷されたと指摘した。今回の攻撃では、映画スタジオや文化芸術施設、住宅、郵便施設、電力・水道設備も被害を受けたとしている。
同協議会は、ロシア政府に加え、戦争犯罪に加担しているとする政治家、企業経営者、ジャーナリスト、宗教指導者への制裁強化を各国政府に要請。防空部隊や兵士、救助隊員、医療従事者らの働きに感謝し、「ロシアの侵略の終結と、ウクライナに公正な平和が確立されるため、共に祈り続けよう」と呼びかけた。声明は「偉大にして唯一なる神よ、われらのためにウクライナをお守りください」と結ばれている。
AP通信によると、同日の一連の攻撃ではウクライナ全土で11人が死亡、53人が負傷したとゼレンスキー大統領が発表した。ロシア国防省は大修道院への攻撃を否定し、米国製の防空ミサイルによる被害だと主張している。一方、ウクライナ保安局は現場からロシア製無人機「ゲラン2」の破片を回収したと発表したが、ロイター通信はこの情報を独自には確認できていないとしている。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)
By Деревягін Ігор - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=28191180














