「福音派」軸に米社会の分断読み解く 加藤喜之氏、福嶋亮大氏、宇野常寛氏がYouTubeで鼎談 2026年6月23日

楽天グループが運営する知的発信プラットフォーム「楽天大学ラボ」の公式YouTube番組に、『福音派――終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(中公新書)著者の加藤喜之氏(立教大学教授)が出演した。番組では、文芸批評家の福嶋亮大氏、批評家でPLANETS編集長の宇野常寛氏を交えた3人による鼎談が展開され、現代の政治・文化の深層を動かす宗教的アイデンティティの本質が浮き彫りとなった。
番組の口火を切った宇野氏は、トランプ前大統領の支持基盤として語られがちな「福音派」の存在について、世俗的な視点だけで政治現象として片付ける危うさを指摘した。
「アメリカの政治的対立を、単なる格差やポピュリズムの問題として矮小化しがちだが、その根底にあるのは『世界の終わり』を本気で信じる人々の切実な世界観であり、彼らのアイデンティティそのもの。目に見える政治的動向だけを追うのではなく、その奥にある固有の宗教的ロジックを理解するリテラシーがなければ、現代の国際社会が直面している本当の分断の深さを見誤る」
これを受け、文芸や思想の歴史的文脈からアプローチした福嶋氏は、宗教が人々の物語や文化的なアイデンティティを形作る強力な基盤であることを強調した。
「世俗化が進んだとされる現代社会においても、人々の思考の骨組みには驚くほど深く宗教的な構造が残っている。アメリカにおける分断は単なる利害の対立ではなく、どのような『物語』を生きていくかという根源的な衝突だ。福音派の終末論が社会に与える影響を読み解くことは、現代人が自覚なしに縛られている文化的なパラダイム(枠組み)を可視化することでもある。宗教リテラシーとは、他者を理解するためだけでなく、自分たちの立脚点を開放するための教養だ」
両氏の指摘を踏まえ、キリスト教学の専門家である加藤氏は、いま求められる宗教リテラシーの核心について語った。
「福音派を単に『狂信的な集団』『理解不能な他者』として退けるのは容易だが、それでは何も解決しない。彼らにとっての信仰や終末論は、日々の生活を支え、自らの存在に意味を与える切実な意思決定の論理そのものだ。現代のニュースを読み解くために必要な宗教リテラシーとは、単に教理の知識を丸暗記することではない。他者がどのような宗教的背景やタイムライン(時間軸)に沿って世界を見つめ、行動しているのか、その『当事者としてのロジック』を内在的に想像し、理解する能力にほかならない」
番組はYouTubeチャンネル「楽天大学ラボ【公式】」にてアーカイブ配信されている。














