元全国会長らへの除名処分 高裁も無効と判断 日本国際ギデオン協会の控訴棄却 2026年7月1日

日本国際ギデオン協会(小方成二全国会長)から除名処分を受けた会員2人が、会員としての地位確認を求めた訴訟の差し戻し後控訴審で、名古屋高等裁判所(原克也裁判長)は6月24日、処分を無効とした名古屋地方裁判所の判決を支持し、協会側の控訴を棄却した。
原告は、同協会の全国会長を務めた早川東助氏と、国際理事を務めた片桐勝利氏。判決は、控訴人である日本国際ギデオン協会について、1959年に憲章と細則を定めて独立した「権利能力のない社団」であり、1976年に設立された一般財団法人日本国際ギデオン協会とは別に存在する組織だと改めて整理した。
争いの発端は、同協会の総主事を務めていた人物の会員資格や献金の会計処理などをめぐる内部対立だった。早川、片桐両氏は、協会内部での解決や第三者によるあっせんを求めたが不調に終わり、理事会決議の無効などを求める別の訴訟を起こした。協会は2019年、この訴訟提起が教会との信頼関係を損ない、協会の事業に重大な影響を及ぼす行為に当たるなどとして、両氏を除名した。
両氏は除名処分の無効と会員としての地位確認を求めて提訴。当初、名古屋地裁は、宗教団体内部の問題であり、裁判所が判断できる「法律上の争訟」に当たらないとして訴えを却下した。しかし、差し戻し前の控訴審は、宗教上の教義の当否を判断せず、訴訟提起が協会の事業存続に重大な影響を与えたかという事実を審理することは可能だとして、地裁判決を取り消して審理を差し戻した。この判断は最高裁の上告棄却、上告不受理により確定した。
差し戻し後の名古屋地裁は2025年10月30日、別件訴訟によって協会の事業が継続できなくなるほどの影響が生じる可能性が高かったとは認められないとして、除名処分を無効と判断。両氏が会員としての地位を有することを認めた。協会側はこれを不服として控訴していた。
控訴審で協会側は、除名処分の有効性を判断する際、「事業の存続に重大な影響を及ぼす高い可能性」を要件とする必要はないと主張。宗教団体の自治や信教の自由を踏まえ、内部処分に対する裁判所の審査は限定されるべきだとも訴えた。
これに対し高裁は、差し戻し前の控訴審が、本件を法律上の争訟と判断した前提には、別件訴訟が教会との信頼関係を損ない、協会の事業存続に重大な影響を及ぼしかねない行為だったかを審理するという枠組みが含まれていると指摘。差し戻し後の地裁は、この枠組みに従って判断すべきだったとして、協会側の主張を退けた。
協会側はまた、別件訴訟の提起後、献金額が全国では約6%の減少だったのに対し、両氏が所属する愛知地区では約24%減少したことなどを挙げ、教会との信頼関係や宣教活動に重大な障害が生じたと主張した。
高裁は、愛知地区の減少率が全国より大きかったことは認めたものの、別件訴訟の影響によるものと断定することは困難だと判断。協会の事業存続に重大な影響が生じた、または生じる可能性が高かったとは認められないとした。訴訟提起自体が信仰共同体の信頼基盤を傷つけるとの主張についても、「抽象的なものにとどまる」とし、除名処分を有効とする具体的な根拠にはならないと結論付けた。
原告側代理人の遠藤靖典弁護士は、判決について「差し戻し後の一審判決を全面的に支持し、協会側の控訴理由をすべて退けた」と評価。仮に上告された場合も、判断が覆る可能性は低いとの見方を示した。浅井正弁護士は、判決の確定の有無にかかわらず、紛争の発端となった会員資格をめぐる問題について、協会内部で改めて検証するよう求めた。今後の上告の有無や判決の確定状況が注目される。














